演奏会に居酒屋仲間が5人集結
先週,所属しているオーケストラの定期演奏会があった。私の半世紀以上にわたる演奏史上,たぶんもっとも暑い日の本番だった。しかも,舞台では黒のスーツ。
今回の特筆大書すべきできごとは,この比較的渋いプログラムの演奏会に,某繁華街の居酒屋Fでの知り合いが5人も来場してくれたことである。この店の1階カウンターは原則として1人客で,長年通っている人が多く,その大部分は顔見知りである。当然,平均年齢は高い。前にも演奏会のちらしを渡して2人ほど来てくれたことがあったが,5人というのは思いがけないことだった。
なにぶん居酒屋での顔見知りというだけなので,本名を知らない人もいる。呼び名が決まっている人もいるが,そうでない人もいて,今回初めて来場したAさんに言及するときは,「いつも早い時間に来てあのへんに座る丸顔でメガネの…」などと言ったりしていた。Aさんの本名は発音のみ今回初めてわかった。
もう一人,こちらは本名を知っているBさんは,今回3回目の来場。Bさんは画家だということはずっと前から知っていたのだが,10年以上前のあるとき個展の案内をもらって行ってみたら,実はもう押しも押されもせぬ日本画の大家なのだった。こんなすごい人と気軽に飲んでいたのかと遅ればせながら恐縮してしまった。
あと,Cさんは今は主に在宅勤務のエンジニア,Dさんは市民ランナーで視覚障害者の伴走もしている。本名を知らないEさんには今回は事前に会えなかったが,ネットで情報を得て来場。
演奏会の帰り,AさんとDさんは近くの焼鳥屋で飲み,Aさんはさらに本拠地のFでもう一杯飲んだとのこと。
テノールのステファン・グールド氏が9月19日に死去,まだ61歳。8月に末期がんを公表し,引退したと聞いたばかりだったので驚愕。最後に聞いたのは今年1月のタンホイザー(新国立劇場)で,このときは特に異常を感じなかったのだが。
その他聞いたのは,フロレスタン2回,オテロ,トリスタン,ローゲ(『ラインの黄金』),ジークムント,ジークフリート(『ジークフリート』『神々の黄昏』),いずれも新国立劇場。
もう一人,作曲家の西村朗氏が9月7日に死去,69歳。新国立劇場の委嘱新作『紫苑物語』の初演(2019年)が印象に残る。