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Apr 12, 2004

神々のたそがれ

 2001年から毎春1作ずつ上演されてきた新国立劇場の『ニーベルングの指輪』,俗称「トーキョー・リング」が完結の年を迎えた。
 最終作『神々のたそがれ』は3月下旬から6回公演があり,私はその2回目の3月27日の回を見に行った。この日は前日のプレミエと2日連続の公演で,この長大な曲としては無理のあるスケジュールだ。もちろん主要歌手は交代するが,気の毒なのは4時間半弾きっぱなしのオーケストラだ(オケは前回の『ジークフリート』からN響)。
 キース・ウォーナーの演出は,風船が舞う遊園地のような『ラインの黄金』に始まり,次々と何かが起こる刺激的な舞台だった。わけのわからないところはいろいろあったが,乾いたユーモアが,ややあっさりめの準メルクルの音楽にマッチしていた。壮大かつ深刻な大団円をむかえる『神々のたそがれ』も,あとから振り返ると,意外な明るさと軽みが印象に残る。
 ジークフリートの旅はカーナビ画面のような地図上で示されていた。『ワルキューレ』からだいぶ経ったはずだが,地図には「フンディングの小屋」もあった。ブリュンヒルデの愛馬グラーネは小さなトランクの中の木馬だった。いや木馬であることは登場の最初から同じだが,『ワルキューレ』のときは舞台いっぱいの大きな存在だったから,最後に火の中に飛び込んでいくときはどうなるのかなと思っていたのだが,結局大きくはならないままだった。

 3人のラインの乙女は,刑事コロンボのようなコートで登場した。最初はわからなかったが,コートの下はレオタードで,やがてコートを脱いで川の中を泳ぐ。この役の歌手たちはとても乙女とは見えない体型で,この衣装を着せられたのは気の毒だった。これに対し,グートルーネはピンクのミニのスーツがよく似合っていた。(ギービヒ家の女性たちはすべてこの華やかなピンクのスーツだったが,すべてがグートルーネのようにスマートだったわけではなかった。)グートルーネは最後にこのスーツを脱いで黒のキャミソールになった。
 ゲッツ・フリードリヒ/ベルリン・ドイツオペラ,ハリー・クプファー/ベルリン州立オペラに次ぐ,3つめの『指輪』が終わった。4作の一挙上演はないのだろうか。

 『神々のたそがれ』というタイトルは,英語の文献でもドイツ語のままGoetterdaemmerung とするのが今は普通だが,昔のあるレコード(もちろんLP)では Twilight of Gods となっていた。「薪の灯りが とてもきれいね ライン川…」という歌詞でもついていそうな感じがした。

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新国立劇場の「Tokyo Ring」は、演出に関しては賛否があったようである [Read More]

Tracked on Apr 14, 2004 at 11:50 PM

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