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May 2004

May 26, 2004

共通の海坊主

 東京の主要なオペラの公演に必ず登場する有名なダフ屋がいる。海坊主のような大柄な姿が目立つ人で,遠くからでも「あ,また来てる」と一目でわかる。記憶では,80年代始めぐらいから出没していると思う。私は一度だけ買ったことがある。開演直前になっても「チケット買いますよ」と言っていたりして,これで商売になるのかなと他人事ながら気になることもあった。
 この海坊主,オペラも宝塚歌劇も見る知人(女性)によれば,日常的には東京宝塚劇場に生息しているという。しかも,しばしば自分も入場して,顔見知りのおばさまたちと談笑したりしているそうだ。チケットが余ったからなのだろうが,まあやはり好きなのだろうと思うと,多少ほほえましい。
 なるほど,宝塚は水曜以外毎日やっているし,昼間だけの公演の日は夜にオペラ等に回ることもできるから,もっとも安定した商売の対象になる。
 違う川だとおもっていたら,放水路でつながっていた。

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May 25, 2004

街の聖者

 池袋西口地区には,有名なホームレスが男女各1人いる。有名なといっても,もちろん名前を知っているわけではない。しかし,そのあたりを日常的に歩いている人なら,大部分の人がその姿を知っているだろう。
 そのうちの男の方だが,あごひげを伸ばし,背は高め,グレーに赤の大きな柄の汚れたジャンパーを着ている。ある程度の年に見えるが,もしかしたら意外と若いのかもしれない。
 彼が特異なのは,いつも立っていることである。歩道と車道の境界の一定の場所の植え込みに向かってたたずみ,祈るようにじっと頭を垂れているのである。そばにはキャスター付きの黒い買い物バッグが置いてある。こちらもずっと見ているわけではないが,数人の話を総合すると,一日のうちのかなり長い時間,その場所で祈りを捧げているに違いない。
 たまに少し角度が違って顔が見えることがあった。その目つきには,山中の修行者や宗教改革者のような鋭さはなく,穏やかだった。

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May 15, 2004

言語学的考察

オトコノユウジョウ…いやあ,泣かせる。でも友情じゃあ勝てない
アサクサキニナル……浅草の飲み屋にいると競馬中継が気になるんですね
フリースタイル………レスリング会場はここではありません
ハイヤーザンヘブン…ペガサスの競馬ってないんでしょうか
フォスターズソング…おお,金髪のジェニーよ,泣くのじゃない
セイウンヲツカム……雲をつかむよりもっと難しそう
アリスタクラシー……名 [U] 貴族制 うーむ,抽象度高し
オッケイゴウ…………軽いノリ,OKです
ライトザファイアー…放火のススメ
ピカソカラノテガミ…きっと画料の督促状ですね
パートタイムラバー…週1日だけお待ちしています
クレッシェンドモア…ますます激しくいななくのでありました
クロネコ………………シンプル・イズ・ベスト(ヤマト運輸)
ヤルゾコール…………友よ,夜明けは近い
ロイヤルキャンサー…王族もガンには勝てない
カゼニフカレテ………果たして寄り道しないでゴールできるか
ガリョウテンセイ……あまり速そうな感じがしないが
マキシマムスピード…そう,一時的には速かったんですが
イノセントアピール…走路妨害なんてしていませんよ,本当です
ヒョウタンジマ………ひょっこり勝つかもしれない
ノーコメント…………起訴状をまだ読んでいないので
ボエーム………………「ラ」をつけてほしかった。
ウィッチズブルーム…これは速そう,でも騎士は魔女でないと
              (15日のスポーツ新聞より)
PS 上記のうち,ガリョウテンセイとマキシマムスピードの出た新潟第11レースは,3連複が史上最高の155万馬券となったそうだ。

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May 13, 2004

ホタルイカ惜別

 連休明けはホタルイカとの惜別の時である。

 ホタルイカを好んで食べるようになって,十五,六年になる。この間,2月ともなると東京のスーパーおよび飲み屋への登場を心中拍手して迎え,富山湾に可憐に光る姿を思いつつ,4月いっぱいほぼ週2~3回食べてきた。
 近年ナマのホタルイカが出回っているが,東京では,海辺でゆでて滋味を閉じこめて運んできたものの方が普通はおいしい。

 4月下旬に関西に出張し,帰りに(とは普通はいわないが),ホタルイカの町・滑川(なめりかわ)(富山県)に行った。行き先は,ホタルイカづくしのコースが食べられる店で,97年に最初に行って(参照)以来3回目となる。その日の朝とれたホタルイカの料理で,ここでは,もちろんナマもよかった。
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 JR滑川駅前から海へ向かう道は「ホタルイカ通り」であり,行った先にはホタルイカ・ミュージアムがある。町全体がホタルイカの季節の訪れを祝っていた。
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 朝3時過ぎに出発するホタルイカ漁見学ツアーがあるそうで,一度行ってみたいのだが果たせないでいる。

 わが家の今年の「新メニュー」は,ホタルイカをキュウリといっしょに,ショウガとXO醤味で炒める料理だった(→参考文献)。そもそもイカとショウガは非常に相性が良いから,簡単で確実においしいものができる。ホタルイカのない季節はタコでもよいと参考文献はいうが,たぶんモンゴウイカやスルメイカの細切りでもいけるだろう。

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May 12, 2004

軽井沢新緑行

 連休中の一日,軽井沢へ出かけた。行きは大宮から新幹線,当然立っていくことを覚悟していたのだが,意外にもかなりの空席があった。

 軽井沢駅前で自転車を借り,赴いたのは軽井沢高原文庫の「立原道造と谷川俊太郎の合唱曲」。音楽会ではなく,こういう名の展覧会で,両詩人の詩につけた多数の作曲家の楽譜と,詩人との間で交わされた書簡などが展示されていた。(将来はこういうとき,eメールが「展示」されるのだろうか…)
 立原は,詩集『暁と夕の詩』『萱草に寄す』を私家版として刊行するにあたり,楽譜を模した美しい装丁とした。詩作に際しては,常に音楽を意識していたはずだ。それだけに,曲をつけた作曲家の多彩さは,当然の結果とはいえ,立原も満足していることだろう。

 この写真は,昨夏できた中村真一郎の詩碑。ガラスを貼り合わせた中に詩を封じ込めてある。やむを得ずマニュアル・フォーカスで撮った。
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 蕎麦で優雅な昼食の後,帰りは新幹線を避けて,バスで碓氷峠旧道を下った。ふだんはバイパスを通るが,混雑が予想されるときは旧道を通る。
 上信越自動車道はもちろん,碓氷バイパスもないころさんざん上り下りした旧道を,カーブのたびに対向車を待ちながらゆっくりと下っていく。途中,サルの家族と,配線になった信越本線の線路に会った。
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 横川からは,折よくボンネット型の臨時快速「碓氷号」があり,上野までそのまま乗った。分断され,行き止まり路線となり,ふだんは各駅停車しか走らない線路を,特急型の車両が快走した。
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May 05, 2004

神保町昼食ニュース5月号

 「本拠地」の「神保町昼食ニュース」の章に,5月号を掲出しました。(折に触れての便りや雑情報はこのブログページで扱っているので,こちらはほとんど純粋に「昼食ニュース」)

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Viva Duke!

 デューク・エリントンが,帝王にふさわしく(?)4月29日生まれということを,擬藤岡屋日記で知った。

 「デューク(公爵)」・エリントンと「カウント(伯爵)」・べーシーは,共にビッグバンドを率いて一時代を画し,両楽団は,主に50年代から70年代初めまで,ウィーン・フィルとベルリン・フィルのように屹立していた。
 デューク・エリントン楽団の66年の来日のとき,高校の吹奏楽のサックス吹きだった私は,制服のまま東京厚生年金会館に駆けつけた。(都内まで1時間半以上かかる場所に住んでいたから,東京のコンサートに出かけるのはかなりの大事業だった。)コンサートマスター=ジョニー・ホッジス as,大番頭=ハリー・カーネー bs,番長=クーティー・ウィリアムズ tp ら大物奏者の個性を生かしながら,要所要所に自らのピアノを織り込んでまとめていくアンサンブルは,一夜の華麗な夢だった。
 メンバーを順番に紹介するとき,トランペット奏者だった息子のマーサー・エリントン(後に,楽団を「相続」する)はまったく無視して通過したのが,妙に印象に残っている。(息子の方ももう亡くなったらしい。)
 私にとって,カラヤンと同じく,たった1回出会ったナマ演奏だった。

 この来日の直前に録音されたアルバムが「The Popular Duke Ellington」で,Take the 'A' Train をはじめとするヒット曲の数々が今も新鮮だ。
 なお,サイモン・ラトルとバーミンガム市交響楽団によるエリントン・アルバム「Classic Ellington」も私の21世紀の愛聴盤である。

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May 04, 2004

オペラと歌劇の雑誌

 昔,オペラに凝り始めた友人が,本屋で『歌劇』という雑誌を見つけ,「あ,日本にもこんな雑誌があるのか」と感激しつつ手に取ったが,開いてみるとなんだか様子が変で…,ということがあったという。
 知らない人も(特に男は)多いと思うが,『歌劇』は宝塚歌劇団の雑誌であり,1936年創刊という日本の雑誌として屈指の長い歴史を持つ。これより新しい,といっても1952年第3種認可の『宝塚GRAPH』と共に,宝塚歌劇団監修・著作のオフィシャルな月刊誌が2誌もあり,根強い読者に支えられている。

 数年前まで私はよく知らなかったのだが,宝塚歌劇は,日本で唯一,専用の劇場と練習場,専属の歌手・オーケストラおよびスタッフ,歌手養成施設を持っている「完全なオペラハウス」であり,宝塚(ファンは宝塚の劇場を「ムラ」という;2527席)と東京(2069席)の2つの大劇場で同時に,週に通常10回(!)公演している(水曜は休演なので,1日2回公演の日が週4日ある;演目の変わり目には各数日休みがある)。もちろん,オペラ歌手と違ってマイクを使っているから,毎回同じ人の出演が可能なのだが。
 さらに宝塚バウホール(500席)と東京の他の会場(主に日本青年館)での公演,全国ツアー公演があって,5つの組が交代で出演している。しかも,驚くべきことに,そのすべての公演がほとんど満席になるらしい。(当然,一人が同じ演目を何度も見ている。)

 ところで,70年代の終わりごろだったように思うが,パソコンのソフトや書籍の会社として急成長していたアスキーが,『オペラハウス』という雑誌を出す計画をし,その試作号を配布してモニターの意見を募ったことがあった。
 こちらは本当にオペラの雑誌で,日本と海外の公演評や予定,レコード(当時はもちろんLP)の案内,歌手や演出家へのインタビューなど,ひととおりの要素を盛り込むことにしていたようだ。私は何とかちゃんと出発してほしいと思い,友人にも呼びかけてアンケートに協力したのだが,何か月かして「諸般の事情で刊行を断念します」というハガキが来た。
 インターネットでいくらでも情報が飛び交うことになるとは夢にも思わなかった時代だった。

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May 03, 2004

リングのチクルス上演

 『文学界』5月号にヴァーグナーについての特集があり,その中に,新国立劇場の「ニーベルングの指輪」の演出家キース・ウォーナーへのインタビューが掲載されていることに,遅ればせながら気づいた。4月12日の本欄で私は「4作の一挙上演はないのだろうか」と書いたが,まさにその話題が出てきている。ちょっと微妙な言い方をしているが,チクルス上演は契約の時の前提となっていて,だからこそ引き受けたのだが,今のところ具体的な話はない,という。
 新しい芸術監督の就任とか,予算削減といった問題があるのかもしれないが,せっかく演出家がやる気なのに,もったいない話だ。

 もう一つの「新情報」――ウォーナーは,この6年間のうち通算1年ぐらい東京に滞在していたそうだ。(その前に,今回の「リング」演出のオファーがあったのが1999年と書いてあるから,ちょっと計算が合わないが,まあ足かけ6年ということなのだろう。)

 さて,一挙上演の場合の日程だが,今年のバイロイトは

(1) RWやSやG

という6日間が1チクルスで,W(ワルキューレ),S(ジークフリート),G(神々のたそがれ)は中1日でとなっている。しかしこれは,そのためだけに集まっている「暇な」聴衆のみのバイロイトだから可能なことで,大部分が昼間の仕事を持っている普通の都市の聴衆には適さない。平日だったらどうしても5時前開演になるW・S・Gは,最低1つ,できれば2つは土日にしてほしいし,演奏者の方も,W・S・Gの間は中2日はほしいところだろう。(歌手で3夜に出演していちばん大変そうなのはブリュンヒルデだと思うが,Sは第3幕の後半だけなので,バイロイト式でも務まるのだろう。)
 見る方にとっては間を開けた土日シリーズというのもよさそうだが,海外からの歌手その他の拘束期間の都合で現実的ではないだろう。

 ということになると,望ましいのは(そもそも私が考えてもしょうがないけれど)

(2) 土日月火水木金土
  RW  S  G
           (等幅フォントで見てください)

というJリーグ風ということになろう。87年のベルリン・ドイツオペラの公演は,(2)のRとWの間が1日空いた形だった。あるいは,もう少し余裕を持たせて

(3) 金土日月火水木金土日
  RW   S   G

というのもよさそうだ。
 以上は東京近辺の人間の発想だが,地方や海外からの人には期間の短いチクルスも必要だということなら,(2) をやった翌週,「火水金日」というバイロイト式コンパクトサイクルを上演し,次の週末は(2)か(3)で3回目,というのはどうだろう。

 ちなみに,今年10月~11月のウィーン国立歌劇場では,24(日)・26(火)・1(月)・6(土)という上演があり,もう1回,来年4月から5月に12(火)・17(日)・24(日)・1(日)というさらに間延びしたチクルスがある。もちろん,その間も毎日別の演目が入っているわけで,リングのことばかり考えてはいられないのだろうし,歌手はたいてい1~2時間で飛んでこられるから可能なのだろうが,旅行者向きではないことは確かだ。

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