徳永康元 ブダペスト三部作
今日は,畏友Flamand氏の「擬藤岡屋日記」の読者の方には特に興味を抱いていただけそうな話題を――
言語学者・徳永康元先生(1912-2003)の『ブダペスト日記』(新宿書房)が,逝去の後1年半たって8月に刊行された。『ブダペストの古本屋』『ブダペスト回想』(共に,恒文社)に続く3冊目の著書である。
徳永先生は,戦前の教養人の系譜の掉尾を飾る人で,音楽家ではないが,音楽に深い理解を持つ。作曲家・柴田南雄のいとこであり,シェーンベルクを初めとする20世紀の音楽を柴田に紹介したのは徳永先生だったという。
徳永先生は,1940年2月から1942年5月までハンガリーのブダペストに留学し,音楽会にも通った。上記『ブダペストの古本屋』によると,実演を聞いた音楽家は,指揮者ではリヒャルト・シュトラウス,フランツ・レハール,エルネー・ドホナーニ(クリストフの祖父),ピアニストではエミール・ザウアー,バルトーク夫妻,ギーゼキング,エドウィン・フィッシャー,バックハウス,歌手ではネーメト(ソプラノ),セーケイ(バス),さらに当時の「若い世代」の指揮者フェレンチェク,ヴァイオリンのヴェーグなど,ため息の出るような名前が並ぶ。「擬藤岡屋日記」でおなじみのタナカ・ミチコも登場する。
この中で,バルトーク夫妻の演奏会は,ナチスの圧力が強まっていた中でハンガリーへの告別演奏会となり,その数日後出国して,再び故国の土を踏むことはなかった。
『ブダペストの古本屋』『ブダペスト回想』の2冊は1980年代の本だが,ネットで探せば手に入ると思う。著者が再びハンガリーを訪れることができたのは1965年,この時の感動が,この2冊のもうひとつのハイライトである。
<9月17日修正>
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» BUDAPEST 1900 [擬藤岡屋日記]
1970年代以降の我が国で上演されたオペラ、特に海外からの引越公演に関してはほぼ網羅的に聴いておられるiizukaさん(実は「鉄」方面にもかなりディープな方であ... [Read More]
Tracked on Sep 06, 2004 at 09:03 PM

Comments
本エントリに触発されて書いた駄文をTBさせていただきました。
Posted by: Flamand | Sep 06, 2004 at 11:55 PM