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Jan 06, 2005

成田と掛布――回文考

 上述の,じゃなくて見る方にとっては下述の,というべきだが,宮城県の作並では「回文コンクール」を行っていて,入選作品を収めた小冊子が販売されていた。

 長い間,私にとって回文とは何よりも,70年代末から80年代始めにかけて一世を風靡した雑誌『ビックリハウス』の重要アイテム,という認識だった。そこに載っていたもので,いまでも回文の最高傑作だと思っているのは,

 (1) 理解の足りない成田の怒り

である。
 これは,成田空港建設反対運動という時代背景があったから大きな価値があるのだが,それゆえにその後の人にとってはピンとこないものになっているのだろう。
 ほかに,
(2) あたいらポ○ノのルポライタア

というのもあった。最後の「ア」がちょっと苦しいけれど,「あたいら」という蓮っ葉な言い方に似合っている。

 『ビックリハウス』以外で記憶に残る傑作としては,

(3) ぷつりとすたれたスト○ップ

(4) 掛布の頭はまたあのフケか

(5) 酢豚作り,もりもり食ったブス

がある。(4)も,掛布という珍しい苗字の名選手を皆が知っていたという時代背景に負っている。
 (3)と(5)は,「つ」と「っ」を同一視しているのが難ではあるが,清音と濁音を同一視するよりはまだ許せる。

 回文のみを扱った本の嚆矢は,土屋耕一の『軽い機敏な子猫何匹いるか』だったと思う。手元にある角川文庫版(1986)のあとがきによると,初版は1971年という早い時期で,もちろん『ビックリハウス』以前である。このタイトル自体も回文で,この本では全体に清音・濁音をきちんと区別している。(実は,上記(3)は『ビックリハウス』が出典だと思っていたのだが,今見たところ,この土屋耕一の本に出ていた。もっとも,このぐらいの長さのものだと,別々に「新制作」される可能性はある。(2)の「中心部」をなす「ポ○ノのルポ」というのもこの本にある。)
 回文の「専門書」はその後何冊か出ていて,そこではタイトル(例:『禁煙永遠延期』『読むの頼むよ』『まさかさかさま』)も著者名(例:イブ藪医/つかさまさかつ/まさに何様/闇から神谷)も回文になっていたりする。

 自分でも,かつて電車の中などで回文作りに励んだことがある。当時,周囲に比較的おもしろがってもらえたのは,仲間でも有名人でも,人の名を入れたものだった。

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