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May 03, 2005

「骨粗鬆症」考

 きわめて限られた数の熟語でしか使われない漢字というのは,「貿」「逓」「郵」などけっこうある。このうち「郵」は,熟語の数はある程度あるが,いずれも近代以降の「郵便(制度)」の意味の合成要素として使われていて,この意味の訓読みはない。
 「鬆」という字も,普通には「骨粗鬆症」でしかお目にかからない。「粗鬆」という言葉(および「鬆」を使う他の熟語)は,専門語としては前からあるのだろうが,骨粗鬆症という言葉が一般に知られるようになったのは比較的最近のことであり,それに伴って「鬆」という字が復活したという点で,やや珍しい例といえそうだ。この字には「す」という訓読み(「すが入る」の「す」)もあるという点でも,「郵」とは趣を異にする。
 それにしても骨粗鬆症というのは発音しにくい言葉だ。

 十数年前のこと,ある分野での師匠筋にあたる人の奥さんが,自宅で転んで骨折した。当時,五十代後半ぐらいだったその奥さんは,医者に尋ねたという。
「あのう,こんなに簡単に骨折するなんて,やはり骨粗鬆症でしょうか」
 するとお医者さんは穏やかな笑みを浮かべて,
「いや,骨はかなり丈夫でな方ですよ。まあ,奥さんの場合は,骨粗鬆症ではなく,粗忽症ですね。」

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