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Jun 19, 2005

サンカルロ歌劇場『ルイーザ・ミラー』――首相に遭遇

 作曲家ごとの見た回数64回で第1位のヴェルディの曲は,これまでに12演目見ているが,『ルイーザ・ミラー』は今回が初めてだった。演ずるは,これを初演したナポリのサンカルロ歌劇場,メンバーはサッバティーニをはじめ当代一流。楽しみではあったが,いちばん高い席しかとれなかったので,それに見合うだけのものだろうかという不安もあった。
 会場はオーチャードホール。ここは敷地にまったく余裕がなく,ロビーが狭いしトイレも不便,聞いたところでは,楽屋も狭くて階段をさんざん上り下りする必要があり,楽員にも評判が悪い。そんな中で,今日の席は2階左側のバルコニー席で,これはこのホールでのあまり多くないオペラ経験の中では最高の席である。

 開演5分前に席に行ったところ,前の3列がまったく不自然に空いている。あまり売れてないのかなと思っていたら,ベルが鳴ってから近くのドアのあたりがあわただしくなり,ぞろぞろと入ってきたのは小泉純一郎首相の一行だった。イタリア大使と思われる人と隣り合って座り,後ろを関係者とSPが固めた。
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 首相になってからだけでも,オペラで出会ったのはたぶん3回目である。小泉氏は,首相になる前も含め,日本の政治家としてはもっともよくコンサートやオペラの会場に足を運んでいると思う(ほかに複数回見かけたのは元首相の羽田氏ぐらい)。その政治については疑問も多いが,オペラ好きであることと,同郷だということで,私としては他の政治家とは違う関心がある。ちなみに,首相の母上,つまり小泉純也氏(元防衛庁長官)夫人は,女学校の教師だった私の祖母の生徒だった。

 出かける前に『ルイーザ・ミラー』のあらすじをあわてて読んだところ,最初は『リゴレット』,中間は『椿姫』,最後は『ロメオとジュリエット』という感じ。
 全体がけっこう長い中で,ルイーザは出ずっぱり,ロドルフォも出番は長い。ルイーザは初めて聞くバルバラ・フリットリで,よくコントロールされた美声は第2幕の四重唱で特に際だっていた。そして,相手役ロドルフォはおなじみのサッバティーニ。ピアニッシモの美しさを生かした「テノールバカ」の対極にある知的な歌い方は,10年前に初めて聞いたときと同じだが,今回は声がさらにつややかで,熱っぽさも十分にあった。顔が妙に老けてしまったのがちょっと残念。
 その他の歌手は多少でこぼこがあったが,一応要所を締めるオケ,簡素ながら美しい舞台とあわせて,充実した公演だった。

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