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July 2005

Jul 29, 2005

オペラの最中に地震

 前回触れた二期会の『フィレンツェの悲劇』(ツェムリンスキー)と『ジャンニ・スキッキ』のダブルビルを,28日の初日に見に行った(新国立劇場)。
 まだ31日まで公演があるので,ネタバレとなることを書くのは今日は差し控えるが,いろいろな意味で目の離せない舞台だった。

 前半の『フィレンツェの悲劇』が佳境に入った7時15分ごろ,地震があった(後で見たニュースでは東京は震度3)。オペラはもちろん何の支障もなく進行したが,客席はかなりざわついた。
 長年オペラを見ているが,上演中の地震というのは記憶にない。暗い中に人が密集しているから,2階席・3階席が落ちたりしたらまず逃げられないと思うと,ふだん震度3ぐらいでは感じない恐怖を感じた。

 地震といえば,いつの来日時かわからないが,カール・ベームが日本で地震に遭ったときのことを語ったインタビュー記事が,かすかな記憶に残っている。
 夫妻で帝国ホテルに泊まっているとき,夜中にかなりの地震があった。ベーム夫人が「ドーンという衝撃があったので,だれかがベッドの下にいて,ベッドごと押し上げようとしたのかと思った」と言ったので,ベームは「その歳でまだ,ベッドの下に男が忍んでくると思っているのかね」と言って笑ったという。

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Jul 24, 2005

二期会から謹告

 二期会は今月,『フィレンツェの悲劇』(ツェムリンスキー)と『ジャンニ・スキッキ』というフィレンツェを舞台にした悲劇と喜劇というしゃれた2本立てを上演するが,このほど二期会から,

『フィレンツェの悲劇』において演出上一部倒錯的性表現が含まれます。ご理解のうえご鑑賞賜ります様お願い申上げます。    公演監督 栗林義信

という「謹告」のハガキが届いた。二期会のチケットセンターでチケットを買った人あてに送られたものだが,ホームページにも同じ内容がトップに出ている。

 倒錯的性表現とは何を指すのだろうとホームページの公演案内を見ていくと,演出のカロリーネ・グルーバー女史のメッセージがあった。その中で触れられているのはSMと女装であるが,もちろん,具体的なことが予告されているわけではない。
 それにしても,わざわざ「謹告」するということは,よほど過激なのかと思ってしまう。

 1992年7月のロイヤル・オペラ来日公演の『ドン・ジョヴァンニ』では,ツェルリーナがドン・ジョヴァンニに縛られ,鞭で打たれるシーンがほんの一瞬あった。誘惑された結果とはいえ,一応納得ずくでドン・ジョヴァンニと別室に消えたのに,悲鳴を上げて逃げ出すのは,こうしたことがないと説明がつかない,という演出家ヨハネス・シャーフの解釈によるものだった。この説明はなるほどと思わないでもないが,実際の音楽の進行ではツェルリーナが逃げ出してくるまでの時間が短いので,その間にそうしたシーンを見せるのはいかにもあわただしい感じがした。
 この公演では,第2幕の晩餐の場面にもヌードの女性が登場していた。当時,日本一有名な独身男だった皇太子が見に来ていたので,後で週刊誌が「殿下には刺激が強すぎたのでは」などと皮肉を書いていた。

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Jul 23, 2005

ホッピー・ストーリー その2

 ホッピーの製造元はホッピービバレッジという会社である。同社のホームページによると,1995年にこの社名にしたという。そういえば,つい最近まで,元の社名「コクカ飲料」が記されたビンも出回っていた。
 あと,ホームページで初めて知ったのは,ホッピー自体にアルコールが 0.8% 入っているということである。1%未満なので酒類ではないが,場合によってはちょっと効く度数だ。

 さらに同社のホームページを見ていて,楽しい偶然に驚いた。前々回の「池袋・横須賀ホッピー・ストーリー」を掲出した7月15日は,57回目の「Hoppy Birthday」だった。あらためて,ホッピーで乾杯!

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Jul 18, 2005

神保町・水道橋の立ち飲み屋

 4月に開設以来,精力的な展開を見せているブログ「ひだまりのお話」は,酒でも音楽でも,私のツボをぴたりと刺激してくれる。
 前回の「池袋・横須賀ホッピーストーリー」でも同サイトの4月の記事にトラックバックを送ったが,そこ紹介されていた水道橋の立ち飲み屋「U]に,先日初めて行ってみた。私は神保町方面から行ったが,駅は水道橋の方が近い。道が斜めになっていて方向感覚が狂う地域の小道にあった。

 暑い日だったこともあり,かなり混んでいて,外まで人がいたが,混んでいても何とかなるのが1人酒のいいところで,\3000のチケットを購入し,めでたく生ビールにありついた。「ひだまりさん」はいないかなあと,何人か点在する1人客をちらちらと観察したが,もちろんわかるわけはない。
 食べたつまみは湯葉とイクラ,アジの刺身,卵焼きなど。湯葉は好きなのでよく食べるが,イクラとの組み合わせは新鮮だった。ビールの次は当然,黒ホッピーで,「中」(焼酎)を1回お代わりした。見ていると,焼酎のロック,水割り,お湯割りなどの場合は,それぞれ氷や割りものの入ったグラスが供され,カウンターに置いてある好きな焼酎を自分で注ぐシステムになっている。当然,みなグラスの縁まで一杯につぎ,こぼれないようにゆっくりと自席まで運ぶ。次は水割りにしてみよう。チケットはまだ残っている。

 神保町の立ち飲み屋では,神保町交差点の北西ブロック,白山通りからちょっと入ったところに「G」という店がある。完全な立ち飲みではなく,高い椅子の席もかなりある。どうやら,俳句関係の人がやっているらしい。
 ここはキャッシュ・オン・デリバリーなのだが,そのたびに財布を開く必要がないようにということなのか,テーブルの上の籠に現金を入れておき,店員が注文の品を運んでくるとそこから代金を持って行く。自分の「予算」の額を入れておけば飲み過ぎる心配がないシステムである。

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Jul 15, 2005

池袋・横須賀ホッピー・ストーリー

 ホッピーを飲むようになって12,3年になる。
 いつも飲んでいる池袋の大衆的な店Fでは,ホッピーのびん(360ml)と焼酎1合(とっくり型のびん)が出てきて自分で好みの割合に「調合」するというシステムで,焼酎の量がきわめて明確であり,酒量のコントロールがしやすい。ただし,この店の焼酎はアルコール度数が低く,20度ぐらいらしい。だからこそ,1合びんで出てくるわけだ。
 先日,その店で,たまたま隣に名古屋から来た人が座り,「それは何ですか」ときかれた。「いやあ,初めて見ました」ということだった。
 同じく池袋の肉豆腐とやきとんの店Cで,04年秋にホッピーを置くようになったのはうれしかった。しかもこちらは黒ホッピーと両方ある。ここの焼酎は35度で,氷と別の小グラス(たぶん80mlぐらい)に「山盛り」で出てくる。

 主に中年向けの雑誌『散歩の達人』7月号に,「横須賀 ホッピーの泉」という小特集があるのを見つけて驚いた。それによると,わがふるさと横須賀はホッピーの聖地だというのである。確かにホッピーの看板はあったような気がするが,横須賀ではあまり飲み屋に入ったことがないから,「内情」は知らなかった。
 また,横須賀では,三冷,つまりグラス・焼酎・ホッピーを冷やして氷は入れないで飲むという。なるほど,ビールに氷を入れてもうまくないから,ホッピーだって,ということはあるかもしれない。
 それで,最初に書いたFでは焼酎・ホッピーは冷蔵されているから,「氷なし」にトライしてみた。確かに,ホップの香りがはっきりして,全体に味が出る。しかし,普通は氷を入れる大きいグラスの下の方に焼酎が少しあるところにホッピーを注ぐわけで,量の感覚がふだんとは違う。うっかりすると飲み過ぎるかもしれない。

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Jul 10, 2005

新国立劇場――シーズン最後は『蝶々夫人』

 新国立劇場の今シーズン最後の演目は『蝶々夫人』を,6回公演の最終日に見た(この劇場の「シーズン」は9月から7月まで)。
 このオペラは,今までにたった4回しか見ていない。『ラ・ボエーム』は8回,『トスカ』は7回,『トゥーランドット』でさえ6回見ているのだが,『蝶々夫人』は超有名曲なのにどうも巡り合わせが悪かった。

 全体に,最終回というノリもあって,充実した上演だった。
 階段を大きく配して上下の空間を広く使った抽象的な舞台装置に,具象的・伝統的な地味な衣装による人物が登場する。全体に地味で,結婚式の場面などもう少し華やかでもいいと思ったが,祝福される結婚とはいえないからということなのかもしれない。
 ピンカートンはもう少し大らかに陽気でもいいのに,やや慎重だった。
 オーケストラがやや大きすぎる瞬間もあったが,舞台といっしょに盛り上がった結果であり,こういうのはナマ演奏のおもしろいところだ。

 今回は,2人の米国人役を西洋人が,日本人の役を日本人が歌った(ケート役は日本人。ちょい役だからどうでもいいけれど)。
 蝶々さんは,原作通りの15歳には見えなかったが,別に誰もそれを望んでいるわけではない。でも,考えてみると,サロメもジュリエットも同じ年頃の設定である。2人の間に生まれた子供も2歳半には見えなかったが,3歳以下の子供に演技を教え込むわけにもいかないからこれもやむを得ない。

 それにしても,このオペラは内容的にまったくの国辱オペラだ。良い上演だとよけいにそれを感じるのかもしれない(今回,ピンカートン役は実際にアメリカ人だった)。ただし,原作では,ピンカートンはもっと軽薄で,シャープレスもかなり「悪者」だったらしい。
 前にも思ったのだが,前奏曲冒頭のフガートは,雰囲気はまるで違うが『売られた花嫁』序曲の主部の最初に似ている。そう,蝶々夫人こそ「売られた花嫁」なのだ。

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Jul 06, 2005

萩原葉子氏――梅ヶ丘にて

 1日に亡くなった萩原葉子氏に,一度会ったことがある。
 もう5年半前になるが,1世代上の「飲み友だち」T老人に呼び出されて,世田谷の梅ヶ丘でご馳走になったことがあった。食事のあと,T氏行きつけのバーに行ったところ,そこにやってきたのが,同じくそこの常連の萩原葉子氏だった。

 紹介されて驚きながら,とっさに『蕁麻の家』というタイトルを口にしたら,「あら,ありがと。ずいぶん昔の話なんだけど」という言葉が返ってきた。ダンスに打ち込んでいるとのことで,話の中心はダンスだった。その引き締まった体つきと軽い身のこなしはダンスの練習の賜物で,八十歳近く(当時)とはとても見えなかった。
 東京新聞(7月5日夕刊)に載った追悼記事によれば,萩原氏は父・朔太郎の膝につかまってダンスをよくし,芥川からも前途有望だとほめられたという。

 2,3杯飲んで,さっぱりした表情ですっと帰って行った。それまでに会った人には類のない素敵なおばさまだった。

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Jul 03, 2005

息を止める

 高校のころ,つまらない授業のときの退屈しのぎに,息を止める練習をしていたことがあった。
 表面上なるべく普通の顔をしたまま,どのぐらいの時間息を止めていられるかを,最初,何の気なしに測ってみた。そのときはそれだけだったが,少したってもう一度測ったところ,「記録」が少し伸びた。それから毎日のようにやってみたところ,記録は着実に伸びた。準備運動として30秒を1回,1分を2回やったあと「本番」の計測をするというようなこともした。結局,最高で2分27秒までいった。
 授業を聞いているような顔を保つためには,「限界点」で少し余裕を残して,静かに残りの息を吐く必要がある。しかし,あるときこの限界点を越えてしまい,「ぼふぁっ」というような感じで暴発し,あわてて咳をしたりしてごまかしたこともあった。

 いま,息を止める必要があるのは,デパートの1階の化粧品売り場を通り抜けるときである。電車の中などで近くにいる女性の化粧品がかすかに香るのはたまにはいいという気もするが,デパートのあの強烈なにおいの充満した空間にはまったく閉口する。

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