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Aug 22, 2005

シーズン最後の夜のオペラ

 1977年の7月28日,一応仕事で出かけたロンドンで,夜ロイヤル・オペラに出かけた。
 地下鉄のコヴェントガーデンの駅は,古ぼけたエレベーター(英国だからelevatorとは言わないが)でゴトゴトと地上へ上がるようになっていた。日本ではまだどこの駅にもエレベーターはなかったので,印象に残ったわけだが,東京の混雑だとエレベーターでは乗客を運びきれないだろうなと当時思った。

 その夜の曲は『アラベラ』で,立ち見の切符をかろうじて買った。
 その後改修されたそうだが,当時のロイヤル・オペラはホワイエが非常に狭く,入るとすぐ1階客席の扉だった。(休憩時には居場所がなく,みな外へ出ていた。)
 プログラムに挟んであるメンバー表を見ると,タイトルロールは Kanawa とある。えっ,金輪さん? そんな日本人歌手なんて聞いたことないぞ,と思ってよく見ると,どうも Te Kanawa という姓らしい。その後押しも押されぬプリマドンナとなり,何度も来日することになるキリ・テ・カナワとの初めての出会いだった。そのとき彼女は33歳,ウィーンのうらぶれたホテルのセットの中で歌う,匂うように美しい姿に見とれてしまった。
 他の歌手のことは何も覚えていないが,記録によると,2年後のロイヤル・オペラ来日公演のスカルピアで名演を聞かせるイングヴァール・ヴィクセルがマンドリーカを歌ったことになっている。

 終わって,カーテンコールがひとしきり続き,客がかなり帰り始めたころ,突然ドロドロとティンパニが鳴った。座っていた人がもぞもぞと立ち上がる。あれ,終了の合図なのかなと思った瞬間,オーケストラが英国国歌を演奏し始めた。客席ももちろん唱和する。後で聞けば,シーズンの最終日の行事で,オーケストラ編曲はエルガーによるものらしい。

 以来28年,ロイヤル・オペラは何度も来日したが,私の方はロンドンにはごぶさたしている。

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