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Aug 08, 2005

太田和彦『東京・居酒屋の四季』

 ここ数年愛読している居酒屋紀行文の第一人者・太田和彦の新刊『東京・居酒屋の四季』(新潮社)が出た。雑誌『東京人』の連載を元にしたもので,春夏秋冬,各9軒,計36軒が紹介されている。「とんぼの本」のシリーズなので写真(飯田安国)が中心で,太田氏が写っている写真もところどころにある。太田氏の文章は短いが,短くとも味があるのがこの人らしいところだ。
 36軒のうち,私が行ったことのある店を数えてみたところ7軒だった。7軒という数字自体は多いとは言えないけれど,気に入って何度も行っている店が4軒あるのは,提出した作品が佳作になったような感じでうれしい。

 太田和彦の『ニッポン居酒屋放浪記』三部作(新潮社)を読んで,居酒屋紀行文というものが成立するのだなと思った。
 この本は,各地に2,3泊滞在し,昼間はじっとしていて夕方からひたすら飲み歩くという旅の話である。酒飲みの直感で良さそうな店を見つけ,飲みながらその店と店の主人の物語をそれとなく聞き出す。そこで他の古い店を紹介してもらって次の店に行く。たまには郷里の長野県での著者の過去の物語がさりげなく挿入され,淡々とした語り口であるがゆえに,ほろりとさせられる。

 『東京・居酒屋の四季』のコピーに「今宵も,ツイー……」とある。放浪記三部作で,この「ツイー」という擬態語は何度出てきただろうか。うまそうに飲むときの描写は,ビールについては椎名誠,そして日本酒,特に燗酒については「ツイー」の太田和彦にとどめを刺す。

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