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Aug 09, 2005

思わず会釈

 ドナルド・キーン氏のエッセイ集を読んでいた6月のある日,エド・デ・ワールト指揮の読売日本交響楽団のワグナーの演奏会のロビーで,偶然にも当のキーン氏を見かけた。もうかなりの高齢のはずだが,元気そうだった。
 もう30年ぐらい前のこと,都内で地下鉄に乗ったら,目の前にあの特徴的な顔のドナルド・キーン氏が座っていた。こちらにとっては勝手におなじみの顔だったので,すいている車内では無視できないような気になって,思わず会釈してしまった。向こうは当然,けげんな顔をした。私は一瞬しまったと思ったが,なるべく何でもなさそうな顔をして少し先の席に座った。

 もう一人,思わず会釈してしまった有名人に,故・淀川長治氏がいる。
 洋画配給会社の知人から招待状をもらって,試写会に行ったときのことである。その会社の社内の定員20数人の部屋で行われた小さな試写会だった。当時,テレビの日曜洋画劇場などでだれでも知っていたあの淀川氏と小さな部屋で顔を合わせたから,ほとんど反射的におじぎをしてしまった。
 淀川氏はさすがにそうしたことには慣れていたようで,まったく普通に,テレビで見るのと同じにこやかな表情で,「いやあ,どうも」とあいさつを返してくれた。
 これも30年近く前のことである。

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