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Sep 14, 2005

死票累々――社会科と社会

 今回の総選挙の結果で,小選挙区全体(300議席)における自民党と民主党の獲得議席数は219対52と大差がついたが,実は得票数の比率を見ると47%対36%である。すなわち,自民党は得票数は民主党の1.3倍に過ぎないのに,4.2倍の議席を得たのである。
 東京はもっと極端で,得票数比は50対37で,議席数は23対1だった。死票累々である。これが,小選挙区制の怖いところであり,おもしろいところでもある。
 比例区があって多少「緩和」されてはいるが,全体の議席数は296対113で,自民党は民主党の2.6倍となった。

 昔々,高校で,政治経済のM先生に小選挙区制について教わった。「勢力の拮抗する二大政党がある場合,少しの人が支持政党を変えると結果が逆転するので,政権の交代が起こりやすい」「死票が生じやすい。51%でも勝ちは勝ちで,残りの49%は死票となる」「得票数と議席数が逆転することもありうる。たとえば,選挙区A~Cで,X党とY党の得票数が55:45,55:45,10:90だったとすると,合計の得票数は120:180だが,A区,B区ではX党,C区ではY党が議席を得るので,議席数は2:1になり,得票数と逆の結果になる」といった話だった。
 今回の結果を見てすぐ,得票率はどうなのだろうと思ったのは,この話が頭の片隅にあったからである。当時は中選挙区制で,自民党政権が変わる気配はなかったから,小選挙区制はまったく理論上の問題として語られていた。

 選挙に関連してこのM先生が話していたことでもうひとつ記憶に残っているのは,最高裁判所の国民審査のことである。
 M先生は「不信任の×印の比率は,いつも名簿の最初の人が少し高く,あとはほとんど差がない。大部分の人がランダムに印をつけているからだ」と説明し,「こんな制度はいらないという意見もある。しかし,万一おかしな裁判官が現れたときのためということと,裁判は別として国民が三権のうちの司法に直接関わることができる唯一の機会であることを考えると,私は残しておく方がいいと思う」という見解を述べた。
 今回も,国民審査にあたっては,公報の「これまでに関わった判決」のところを読んでから投票所に向かった。

 M先生には,そのほかに,株式会社のしくみ,銀行の預金準備率,為替手形・約束手形というもの,ケインズ経済学の基礎など,教科書の扱う範囲をかなり越えて,世の中のしくみの基本を習った。最初つまらないと思っていた政治経済という科目が,ほどなく目からウロコの連続の楽しみな科目となった。
 M先生から学んだことの大部分は,その後文学部系の学生が学校では二度と学ばなかったことがらで,今も大いに役に立っている。

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