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Oct 04, 2005

バイエルンの『タンホイザー』――また首相に遭遇

 1日(土)午後,バイエルン州立歌劇場の『タンホイザー』を見に上野に出かけた。駅を出ると,目の前の東京文化会館の楽屋口の前に人垣ができていて,警官が出て人の整理にあたっていた。
 何だろうと思いつつ,入場。私の席は2階のサイドだったので,全体が(直下の1階席以外)見渡せる。開演時間になったが,2階正面はすでに埋まっていたので,これは皇族ではない。1階中央の大理石後ろの中央通路から2つめの席に,ニュースキャスターのC氏がいて,その左がだいぶ空いているなと思ったら,周りをSPに囲まれ,州立劇場の総裁ジョナス氏に先導されて,小泉首相が登場し,中央通路を降りてきた。なぜか拍手が起きる。C氏とその同伴者の左にジョナス氏,次が首相,次はたぶん駐日ドイツ大使だろう。(参照:→6月の遭遇
 SPのうち何人かは近くの席に座り,あとは1階のドア数か所に立つ。SP諸氏は,たぶん興味のないオペラの間立ちっぱなしで,同情に堪えない。『マイスタージンガー』でなかったのが,せめてもの救いか。

 舞台は一貫して荒涼とした世界だった。ヴェヌスブルクも華やかさはほとんどなく,タンホイザーが満たされぬ思いをするのも当然という感じである。胸を露わにした女性数人を含む人物の様式化された動きがおもしろい。
 ヴェーヌスも第2幕の貴族の女性たちも,鎧のような金属光沢の衣装を着ていて,全体としてモノクローム。第2幕でも,貴族たちは,男たちがタンホイザーに向かって刀を向ける場面も含めて,スローモーションのような動きが際だっていた。(その中に,29日の『マイスタージンガー』を風邪で欠場したK氏の姿もあった。)
 歌手では,ヴェヌスのワルトラウト・マイヤーはさすがで,その他ではヴォルフラムのサイモン・キーンリサイド(聞くのは1年前のウィーン国立歌劇場の伯爵(『フィガロ』)に続き,2回目)が印象に残った。
 この日は爽やかな晴天。休憩時の夕暮れのテラスは,舞台上と違って緑も豊かで,気持ちよかった。

 翌日のスポーツ新聞の片隅に,首相が「ワグナー堪能 首相「涙が出る」」という記事が出ていた。幕間に出演者と会い,マイヤー相手に「私もビーナスの世界に入ってみたいよ」とおどけていたという。あんなヴェヌスブルクに行きたいんですかね。
 週末の外出は選挙後初めてだったそうだ。ヒラの議員だったころは1人で気軽に来ていたのに,気の毒なことである。

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