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Nov 19, 2005

さまよえる『オランダ人』

 あわただしい日が続いて書けないでいるうちに旧聞になってしまったが,今月上旬,二期会がハノーファー歌劇場と共同制作した『さまよえるオランダ人』があり,5日(土)に出かけた。A・Bキャスト各2日ずつの公演のうち,Aキャストの2日目である。休憩なしの全幕連続版だった。
 演出と美術はベルリン在住の渡辺和子という人で,舞台装置の色遣いがちょっとおもしろいが,総じて珍妙かつ混沌。第2幕の舞台は精神病院のつもりのようだが,よくわからず。オランダ人の肖像が絵でなく立体像なのは初めてだった。最後は救済されない。いろいろ未整理な感じで,来年2月のハノーファー公演のための試演という感じだった。
 でも,これはまあ「想定内」で新しい演出はこんなものという気がしたが,歌手,特にオランダ人(最初はなかなかいい声だと思ったのに,すぐ失速)とダーラントが生気がないのにはがっかりした。カーテンコールでは少数ながら「ブー」も飛んだ。
 去年,初台でサロメをやっていたエヴァ・ヨハンソンがゼンタを歌い,一人でがんばっていた。
 その後『東京新聞』に出た評によると,AキャストとBキャストでは演出面でずいぶん違うところがあり,Bキャストの方がより練られたものだったという。

 収穫はエド・デ・ワールトの指揮。6月の読響で『リング』の「オーケストラル・アドベンチャー」を聞いたのに続いてのワグナーで,直球勝負の骨太ワグナーが『オランダ人』という曲に合っていて快かった。デ・ワールトは元々オーボエ吹きで,オランダ管楽合奏団の主宰者として最初に名前を覚えたが,六十代半ばに達したいま,指揮者として円熟の活躍を見せている。
 オーボエ吹き出身の指揮者としては,ルドルフ・ケンペ以来の大家となった。

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