« 天龍 ――神保町'70s (3) | Main | さまよえる『オランダ人』 »

Nov 09, 2005

混んだ電車――寺田寅彦の観察

 朝,地下鉄に乗ろうとしてぎっしりいっぱいで,次の電車にしようかと迷ったりすると,決まって思い出すのが寺田寅彦の「電車の混雑について」である。
 この随筆では,東京の市電(路面電車)の乗客の行動を観察した結果として,「人は混んだ電車に乗りたがる」「混んだ電車の次にはすいた電車が来る」…といった「法則」が語られる。

 寺田が観察をしたのがどこの停留所だったのかは長年意識したことがなかったが,少し前にふと思い立ってあらためて原文を見たら,これが神保町の停留所だった。時は1922(大正11)年6月18日,作者44歳のときである。白山通りを行く市電だから,その子孫が地下鉄三田線ということになる。
 市電の場合は,電車の間隔が詰まってじゅずつなぎになったりすることもあるのに対して,現在の鉄道は混雑のためにダイヤが大きく乱れることはないし,乗り入れなどによる始発駅の違いが混雑のバラツキの原因になっていることも多く,事情の違いは大きいが,混んだ電車に乗りたがる心理などは変わっていない。

 いま,寺田の随筆はネット上の「青空文庫」で容易に見ることができる。

|

« 天龍 ――神保町'70s (3) | Main | さまよえる『オランダ人』 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23118/6988698

Listed below are links to weblogs that reference 混んだ電車――寺田寅彦の観察:

« 天龍 ――神保町'70s (3) | Main | さまよえる『オランダ人』 »