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Feb 18, 2006

『魔笛』――土俵入りと代役

 新国立劇場は昨シーズンからモーツァルトのシリーズをやっているが,生誕250年の今年,1月に『魔笛』,2月になって『コジ・ファン・トゥッテ』を見た。『コジ』は昨年プレミエになったものである(→参照)。

 『魔笛』はミヒャエル・ハンペの演出で,3回目の上演。しかし,まったく見覚えのない場面ばかりだったので,後で調べたらこれまでの上演はなぜか見ていなかった。
 抽象的な美しい舞台装置に古典的な服装で,特に刺激的ではないが,歌手もまあ一応の水準で,十分に楽しめた。冒頭の大蛇は妙にリアルだった。

 『魔笛』は,70~80年代には1年半に1回ぐらいの割合で見ていたのだが,90年以降は頻度がぐっと落ちて,今回は6年ぶりだった。
 今回もそうだが,ザラストロの神殿の司祭たちは,円形の台の縁に並ぶことが多い。昔見た二期会の舞台では,1列で出てきて,円形の台の縁をぐるっと歩いて位置に着いたので,思わず同行者に「土俵入り!」とささやいてしまった。

 これまでに見た中では,1984年のハンブルク歌劇場が持ってきたものがいちばん変わった演出だった。魔法の鈴で浮かれて踊り出す動物たちが,開幕前のロビーでうろうろしていた。その「動物」が客の後ろから肩をたたいて振り向いかせ,ぎょっとさせるといういたずらが行われていた。
 このとき,夜の女王役の2人が共に不調で,急遽釜洞祐子が呼ばれ,開演40分前に歌うことが決まって,非常に立派に代役を果たしたということがあった。その前年に日生劇場の主催公演の『魔笛』で初めて聞いた釜洞がすばらしかったので,また聞きたいと思っていたところだった。
 私は行かれないが,今来日中のシュトゥットガルト歌劇場の『魔笛』はかなり「新しい」演出らしい。

 「魔笛」は「魔弾」と共にオペラ専用の単語である。かつて二期会が『魔法の笛』というタイトルで上演したことがあったが,世の趨勢は変わらなかった。

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Tracked on Feb 18, 2006 at 01:13 PM

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