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Feb 26, 2006

三木稔『愛怨』の初演

 先週の週末の新国立劇場は,三木稔『愛怨』の初演だった。新国立劇場の委嘱新作は次の4作に続く5作目である。
  團伊玖磨『建・TAKERU』(1997)
  原嘉壽子『罪と罰』(1999)
  一柳 慧『光』(2004)
  久保摩耶子『おさん』(2005)

 このうち,『罪と罰』以外は見たが,その中で今回の『愛怨』はもっともよくできていて,楽しめる上演だった。何年かして再演されるならまた見たいと思う。
 音楽は,團伊玖磨よりは新しい響きがするが,おおざっぱにいえば保守的で,美しいメロディもあり,特にとがったところはない。スパイス不足の感もあるが,大劇場の観客を一応楽しませるのにちょうどいい線を狙ったものだろう。

 『愛怨』は,台本が瀬戸内寂聴の書き下ろしということも話題のひとつだった。ストーリーは日中の歴史をふまえてスケールが大きく,また,合唱が適度に配され,悲劇の中にコミカルな場面もあって,変化に富む。『建』『おさん』のつまらなさは,台本が作曲者によるものだったことも要因のひとつだろう。
 それから,歌詞がほぼ聞き取れる職人的なオーケストレーションも,台本を生かすのに役立っていた。

 ストーリーでひとつ問題なのは,囲碁の対局での「不正手段」として,負けそうになった猛権が相手の石を飲み込もうとするという点だ。「公式戦」なら記録係や立会人がいるはずだし,まして対局者は手順と石の配置をすべて覚えているから,物理的に石が消えても意味がないと思うのだが。

 休憩時のロビーでは,紫色の僧衣の瀬戸内氏が多くの人に囲まれていた。カーテンコールでも,出演者以外では瀬戸内氏が真っ先に壇上に登場した。

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