京都御所――雅楽と桜
用事で京都に出かける日が,ちょうど京都御所の一般公開期間中だったので,午前中のうちに見ることにし,少し早く東京を出た。ふだんでも事前に申込みをして見学することはできるのだが,年に2回,春と秋の各5日間は申込みなしで見学できる。20年ぐらい前の秋の公開を見て以来,2回目である。
地下鉄の京都駅ですでに「京都御所の一般公開に行かれる方は今出川でお降りください」というアナウンスがあり,今出川ではかなりの人が降りた。平均年齢の高い人の流れに乗って門をくぐると,満開のしだれ桜が出迎えてくれた。玉砂利の上を歩き,特設テントでの手荷物検査を経て,宜秋(ぎしゅう)門という門から御所内に入ると,以下は順路に従って一筆書きで歩くことになる。
建物はすべて平屋である。床が高く,屋根も高いが,高楼はない。しかも,建物の中は向こうに屏風があったりはするが,あとは畳が広がっているだけで,前のときにも思ったのだが,まことにあっけらかんとした空間である。「御所」は英語では palace とするほかないが,同じ palace でも西洋の宮殿とはまったく違う。
現在の建物の大部分は幕末のものだという。例えば枕草子に出てくる清涼殿の姿をどの程度伝えているのかはわからないが,庶民の家が掘っ立て小屋程度なら,まあ一応そびえ立ってはいたのだろう。
「正殿」にあたる紫宸殿(上の写真)には,「左近の桜」「右近の橘」があって,桜は満開だった。右近・左近というのは,中から見て右左だということを初めて知った。

庭の丹塗りの欄干のある舞台で,予告されていた雅楽の公演が始まった。舞台は舞のためのもので,楽員は奥のやはり欄干のある台の上で演奏していた。色とりどりの衣装が春の日に鮮やかである。
隅に座っている鞨鼓のおじさんがマイクで曲目を紹介し,簡単な説明をする。曲によって編成はいろいろだったが,最後は13人のトゥッティだった。笙3名,篳篥(ひちりき)3名,笛4名,打楽器3名である。笛と篳篥がメロディ楽器だが,斉奏でこれが西洋風のユニゾンを意図しているのか,微妙にずらしているのかがどうもよくわからない部分もあった。

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