すずらん通りの中ほどには,北側に「禮華楼」,南側に「楽々」という中華の店があった。いずれも古い建物の1階だけの小さな店で,大柄のおばさんが一人で接客していたのも共通する。
禮華楼は,昔からの2軒の楽器屋の間で,いまは古本屋になっている場所にあった。のれんに(記憶が定かではないが)「ラーメン」と書いてあるだけで店名の看板がなく,常連でも店名を知らない人もいた。メニューはラーメン,タンメン,チャーハン,中華丼などのほか,カレーライスがあった。安くて量はかなりあったが,時には「ラーメンとカレー」といった注文をする若者もいた。カレーは,豚肉がちらほら,福神漬がついた日本的なカレーだった。おばさんは元気のいい肝っ玉母さんふう,客は圧倒的に男が多かった。
閉店したのは90年代の始めの方だっただろうか。その後,一時信州ラーメンの店になっていたこともある。
楽々は東京堂書店の右隣,いまは箱形のスペースを店舗として貸す店がある場所にあった。いかにも昔の中華料理屋という感じの赤い枠の外装で,ドアを開けるとコンクリートの床の上にテーブルが5,6個あった。こちらのおばさんはのんびりゆったりで,低めの声の独特のイントネーションで「ありがとざんした」と言った。
メニューに,普通の軟らかい焼きそばと別に「ソース焼きそば」があるのと,「サンマーメン」があるのが少し変わっていた。店・地域によっていろいろなサンマーメンがあるようだが,ここのはもやしうま煮の載った麺だった。ここも客は男が多かったが,禮華楼よりは女性も入っていた。
閉店したのは90年代前半だったか,禮華楼よりは後だったと思う。最後のころはずっといたおばさんは姿を消して,小柄な上品なおばさんが店に出ていた。