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Aug 26, 2006

冥王星とホルストの『惑星』

 惑星の定義が変わり,冥王星が惑星から外された。
 冥王星は1930年,つまり昭和になってから発見された。ホルストの組曲『惑星』は冥王星発見以前の1916年の作曲で,当然,「海王星」で終わりである。「海王星」では,舞台裏の精妙な女声6部合唱が加わり,最後にはドアをゆっくり閉めて音を消していくようスコアに指示があったと思う。終曲にふさわしい印象的な結尾となっている。
 ホルストが死んだのは1934年だから,冥王星発見のニュースを知っていたはずだが,「続き」を書くことはなかった。ホルスト自身は『惑星』はそれほど良い作品とは思っていなかったのに人気作となって,とまどっていたらしい。

 後に,マシューズ(Colin Matthews;1946-)という作曲家が「冥王星」(Pluto, the renewer)を書いた。しかし,それがいい曲だったとしても,あの「海王星」の神秘的な終わりの後に続けて演奏するわけにはいかないにちがいない。
 冥王星が惑星でなくなって,マシューズはがっかりしたかもしれないが,ホルストはようやく安心して眠れることだろう。もって冥すべし――あ,こちらは「瞑」だったか。

 planet には「惑星」のほかに「遊星」という訳語があり,今も辞書に載っている。昔,東大系の学者が「惑星」を用いたのに対し,京大では「遊星」を用いることが多かった,という話をどこかで読んだことがある。
 学生オーケストラの名門である京都大学交響楽団でホルストを演奏することがあったら,組曲『遊星』と表記してはいかがですか。

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●昨日サッカーがあったから一日遅れでこのネタを。太陽系の惑星、一気に3個増か。整理しておこう。増えるのは火星と木星の間にある小惑星で最大の「セレス」、これまで冥王星の衛星とされていた「カロン」(冥王星と二重惑星となる)、冥王星よりも大きい「第10惑星」として発表されてた「2003UB313」。 ●水金地火セ木土天海[冥カ]2003UB313。落ち着かんっすね。しかもこれ以外にさらに12天体が惑星候補となるっていうんだから、急に太陽系がにぎやかになってきた。冥王星とカロンが二重惑星っていうのも、なんだ... [Read More]

Tracked on Aug 27, 2006 at 02:06 AM

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