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Dec 13, 2006

再演の楽しみ――『フィデリオ』『セヴィリャの理髪師』

 新国立劇場の12月は,昨年プレミエの『フィデリオ』『セヴィリャの理髪師』の再演だった。同じ演出の再演というのは,ゼフィレッリ演出の『ラ・ボエーム』(81年・88年のスカラ座来日公演)というような幸運な例外を除いては,新国立劇場という曲がりなりにも常設のオペラハウスができて初めて知った楽しみである。
 再演では,新演出の「何が出てくるかな」というわくわく感はないが,最初の上演を隅々まで覚えているわけはないから,前には見落としていたことに気づくことも多い。一方で,おおよその展開はわかっているので,余裕を持って歌手の歌いぶりなどを見ていることができる。

 この『フィデリオ』は,昨年書いたように,「ナマ着替え」「レオ3挿入なし」「集団結婚式」という「3大特色」を持つ。これはもちろん今回も健在で,(歌手は前回と違うが)レオノーラがかなり太めで,男装してマルツェリーネに惚れられそうもないのも前回同様だった。しかし,これはそもそもストーリーに無理があるのだから,やむを得ない。
 フロレスタンを歌ったステファン・グールドというテノールが,輝かしくしかも派手一方でないいい声だった。ワグナー歌手として活躍している人らしい。とても死にそうな囚人には聞こえないが。
 最後の,音楽の力でねじ伏せるような「解決力」は,今回の方が勝っていた。ここは,アンサンブルの経験値が上がった効果,と解釈しておこう。

 『セヴィリャの理髪師』は,昨年は上演中に地震に見舞われた(→参照)という思い出がある。
 今回は,回り舞台の上に巧妙に作られたセットの中で,去年よりも余裕を持って計算されたどたばた劇が繰りひろげられた。ロジーナが大女,伯爵が小男なのを生かして(?),踏み台に乗って抱擁したりするアイディアもよかった。(ここは去年はどうだったのか,記憶がない。)

 これで,今年のオペラは終わり。新国立劇場11回のほかは,サンクトペテルブルクのマリンスキー劇場(『指輪』),ボローニャ,メト,フィレンツェで,計22回だった。

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Tracked on Dec 13, 2006 at 11:03 AM

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