傘の値段
バブル崩壊まで長い間ずっと,物価は上昇し続けた。油が水に浮くように,物価といえば上がるものであり,「物価上昇」というのが四字熟語として固定していた。そこに風穴を空けたのが「価格破壊」という動きだった。
価格破壊の例としては,だいぶ前に書いた音楽CDが顕著だが,個人的な印象が強いのは雨傘である。たぶん70年代末ごろだったと思うが,出張先の関西某所で強い雨に降られた。やむを得ず,駅から濡れないで行けるデパートで傘を買ったら,出張の手当が消えてしまった。
それが,その後10年あまりの間に,コンビニはもちろん,駅の売店や,100円ショップでも,ビニール傘が買えるようになった。東京・蒲田で,居酒屋で傘が売られているのを見たこともある。ジャンプ傘のトップメーカーだったアイデアルは倒産したし,個人的にも雨に備えて折りたたみ傘を持っていくのを面倒に思うようになってしまった。
破壊された状態が定着して,「価格破壊」という言葉も古語になった感がある。
