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May 12, 2007

ウィーン版『エリザベート』

 4月某日,関西に行く用事ができたので,その前になんとか時間を作って,大阪でミュージカル『エリザベート』ウィーンオリジナル版を見た。由緒あるアン・デア・ヴィーン劇場で上演されていたもので,演出はオペラでおなじみのハリー・クプファーである。今回の日本公演は,ちゃんとした舞台での上演は大阪のみ(5月の東京公演はコンサート形式)なので,やや無理をして見ることにした次第。

 見ものはまず複雑・精妙,かつ大がかりな舞台で,回り舞台の中にせりがいくつもあり,上からはやすりの形の橋が降りてくる。しばしば電飾が輝くのは,同じクプファーの『ニーベルンクの指輪』の舞台を思い起こさせた。
 歌とオーケストラ(三十数名)もさすがで,もちろんマイクを使っているが,よくある耳ががんがんするようなうるささはない。これなら東京のコンサート形式での上演も見る価値がある,と帰ってから周囲に薦めた。歌手の見た目もよく,エリザベートが有名な肖像画(→photo)と同じ白いドレスで額縁にはまって登場したときには,会場全体が息をのんだ(ような気がした)。Elisabeth1


 このミュージカルは,オーストリア=ハンガリー帝国の皇妃エリザベートの死をめぐる物語で,間には嫁姑の争いや貧困の問題も登場し,多くのミュージカルのように心楽しくメインテーマを口ずさみながら家路につくというようなものではない。しかし,トート(Tod; 死)という「人物」を舞台に登場させることにより,エリザベートがトートと結ばれてフィナーレとなり,皮肉な形ではあるがハッピーエンドとなった。
 ただし,前に見た東宝ミュージカルのときなどに比べると,このウィーン版ではトートの地位は少し軽く,普通の若者に近い扱いだった。
 会場で買ったプログラムには,この曲の世界9か国での上演の記録が載っていて,そのたびに少しずつ場面が変更になったり曲が増えたりしている様子が書いてあった。古典ではなく生きている作品のおもしろいところだ。

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