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Jun 27, 2007

ジョナサン・ミラーズ――『ファルスタッフ』と『ばらの騎士』

 新国立劇場の今シーズンの最後は,『ばらの騎士』と『ファルスタッフ』の日替わり公演だった。演出はいずれもジョナサン・ミラーで,『ばらの騎士』は新制作,『ファルスタッフ』は2004年制作の再演である。
 印象に残ったのは,共にイザベラ・バイウォーターという女性による舞台装置。どちらも写実的なもので,外から光があたって美しい。『ファルスタッフ』では床が白黒の大きな格子模様で,フェルメールの絵を意識したものだと思う。
 『ばらの騎士』の第1幕・第2幕では,大広間の右側に廊下が作られていて,まっすぐ奥へ伸びている。そこで繰りひろげられる細やかな演技が見えるのは,上手寄りの席の聴衆の特権だった。(第3幕では廊下を左側にして公平を期していた。)
 ジョナサン・ミラーの演出は,これまでに,ウィーン国立の『フィガロ』,スカラ座の『西部の娘』を見た。『西部の娘』は,天井の高い部屋にやはり外光がふりそそぐ舞台だったという記憶がある。田舎の酒場にしては立派すぎる装置だったが。

 今回の2曲の主要人物ファルスタッフとオックス男爵は,こうしてあらためて見比べると,共通点が多い。どちらも好色な中年男で,太っていて,身分が高く,皆にからかわれ,とっちめられる。演出は,この2人をまったくの悪者にはしないで,敬意をもって遇し,かつ没落の予感を漂わせていた。

 ファルスタッフはアラン・タイタス。20年に7つの役を見ているが,ベテランの味で今度のファルスタッフがもっとも適役で,余裕たっぷりだった。
 マルシャリンは初めて見るカミッラ・ニールント。美人で若く気品があり,実は若いマルシャリンの役(三十代始めの設定だったか)にぴったり。オクタヴィアンのツィトコーワも男役がぴったり。それにひきかえゾフィー役は,なんだかマルシャリンより年上に見えてしまった(プログラムに載せる写真は,20年前のものではなくせめて10年前のものにしてほしい)。でも歌は良くて,第3幕の3重唱もみごとだった。
 あとで記録を見たら,ちょうど1年前の同日の新国立劇場で,ツィトコーワのオルロフスキー公爵を聞いたのだった。

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