1980年のウィーン国立歌劇場来日公演のカール・ベーム指揮『フィガロの結婚』のDVDをやっと買ってきた。出たらすぐ買うつもりだったのに,その後ちっともレコード屋に行かなかった。
1日1幕ずつ見てみた。画像は非常に鮮明で,音もFM放送用の録音から画像にシンクロしたとのことでかなり良好。ゆっくりのところは特に,今はなかなか聞けない遅いテンポだが,全体としては十分にはつらつとしている。
収録は9月30日の初日で,私はひだまりさんと同じく10月3日の2回目の公演を見た。ベームの指揮に接するのはそれが最後になった。このときベームがオペラを指揮したのはこの2回の『フィガロ』と,10月9日の『ナクソス島のアリアドネ』の計3回だったと思う。
公演の細かいことは忘れているが,DVDを見ていると「そういえばこうだった」と思い出すことも少しはある。私は,東京文化会館での3演目(フィガロ,ナクソス,後宮)を,4階L席で見た。ほとんど真横から見下ろす席で,舞台上での動き(ケルビーノのナマ着替えシーンも!)がよく見える席だった。
当時の主要歌手の年齢は,いくつかの資料を総合すると,ヴァイクル(伯爵)38歳,ルチア・ポップ(スザンナ)40歳,ヘルマン・プライ(フィガロ)51歳,ヤノヴィツ(伯爵夫人)42歳,アグネス・ヴァルツァ(ケルビーノ)35歳。ヴァイクルはまあいいとして,他はせめてあと5年早ければと思わないでもないが,それは見たからいえるぜいたくだろう。バルツァは後で,ベームから直々に頼まれたので歌ったが,ケルビーノは今後歌わない,と語っていた。ポップ,プライの2人はすでに他界した。