赤頭巾ちゃんの登場
1969年春のこと,友人が「日比谷高校の生徒を主人公にした変な小説が『中央公論』に出てる」という。借りて読んでみたら,都立日比谷高校(その2年前まで東大合格者数トップだった)の男女の生徒(と近所の女医さん)が出てきて,たいした物語があるわけではないのにやたら饒舌にとめどなく言葉があふれてくる。しかも登場人物は同世代で,時代は同時代――ほんとうに「変な小説」だと思った。それが庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』の初出である。
「学校群」前の日比谷高校は大学のような高校で,2期制で90分授業,個性的な名物教師が揃っていた。『赤頭巾ちゃん気をつけて』にもそのあたりのことがいろいろ書かれているが,文芸雑誌がいくつも出ているというのと並んで「馬鹿でかいオーケストラがあってしょっちゅう演奏会をやっている」というくだりには笑ってしまった。もちろん,当時,高校のオーケストラというのは非常に貴重な存在だったが,関係者によると,日比谷のオーケストラは馬鹿でかくはないし,しょっちゅう演奏会という状況ではなかったという。
その年の夏,『赤頭巾ちゃん気をつけて』がなんと芥川賞に選ばれて再び驚いた。(その5年後,庄司薫が中村紘子と結婚したというニュースに,三たび驚かされた。)
ずっと後で知ったのだが,庄司薫は,日比谷高校で塩野七生と同級生だった。(ちなみに,私は中村紘子さんと郷里で一時ご近所だった。)
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Tracked on Dec 17, 2007 at 08:17 AM

Comments
芥川賞の直後に単行本で読んだのは中3の時でした。
その後赤坂見附の駅からどこかに行こうとしてとんでもなく迷った揚句、急な坂を登ったら、その先に日比谷高校が建っていて、その急坂が“遅刻坂”だとわかりました。
日比谷は皇居を挟んで反対側にあるような立地なのに、どうして“日比谷高校”なんでしょうね。
Posted by: HIDAMARI | Dec 17, 2007 at 08:21 AM
コメントありがとうございます。日比谷高校は,たしか新制高校になるときに,前身の府立一中が最初は日比谷公園のあたりの場所にあったことにちなんで名付けられた,と聞いたことがあります。
Posted by: 家主IZK | Dec 20, 2007 at 07:25 AM