ハチ公のしっぽ
ケータイのなかったころ,事情に詳しくない者同士が大きな駅で待ち合わせをするのはけっこう難しかった。たとえば渋谷駅。古くからの待ち合わせスポットは忠犬ハチ公の像のところであるが,夜はハチ公の周りに待ち合わせの人だけでたぶん200人ぐらいの人が密集していた。
あるとき友人と,やむを得ずハチ公前で待ち合わせをすることになった。電話で,混んでるけど大丈夫かなあ,と言ったら,友人は「ハチ公のしっぽにつかまってるから」という。
自分がしっぽにつかまるのはちょっと恥ずかしいなと思いながら行ってみたら,まずハチ公に近づくのが容易でなかったが,そこを分け入っていくと,しっぽ,もしくはその近くにつかまっている人だけで7,8人いた。
ハチ公は当時は駅の方を向いていなかった。80年代後半だったと思うが,向きを変え,主人の出てくる駅入り口を見つめるようになった。
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