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Jan 07, 2008

ドレスデンの響き

 1973年10月,「ドレスデン国立歌劇場管弦楽団」を初めて聞いたときの驚きは大きかった。今はふつうドレスデン・シュターツカペレと表示されるオーケストラの初来日のときの演奏会(東京文化会館)で,指揮はクルト・ザンデルリンク,曲は「マイスタージンガー」前奏曲,ベートーヴェンの8番,ブラームスの1番だった。
 まず,「マイスタージンガー」前奏曲の冒頭の清澄ともいうべき響きに驚いたが,さらに驚いたのは,マイスタージンガーの行進の動機のところで,管楽器と重なっているハープの音が4階(あたりだった)の席までちゃんと聞こえてきたことである。ここは楽譜では確かにフォルテが1つだが,しばしばかなり堂々と演奏され,ハープが聞こえるような演奏に接したことはなかった。アマチュア・オケの演奏では,「どうせ聞こえないから」とハープのトラを頼まないで済ませることも多かった時代である。(後にカラヤンがこのオーケストラと共に録音した『マイスタージンガー』のレコードが出たときには,飛びついて買った。)
 ベートーヴェンとブラームスでも,もちろん楽譜通りなのだが,響きには透明感があり,一方で低音がしっかりと支えて骨格は揺るぎなく,レコードで聞いていたどのオーケストラとも違う個性を持っていた。

 「海外オーケストラ来日公演記録抄」にある記録を参考に思い出したところでは,その後,1978年にブルックナーの5番,1981年にブルックナーの4番,95年に演奏会形式の『エレクトラ』,2000年にワグナー名曲集を聞いた。時によって「ドレスデン国立管弦楽団」という表記もあったように思う。(そのほかに,ピット内の演奏を81年と2007年に聞いた。)
 ブルックナーの2曲では,共に第2楽章の弦の深々とした響きと,決して怒鳴らない金管のフォルテとの対照と調和が壮大な世界を現出させた。4番のときには,指揮者のブロムシュテットが,ホルンのトップのペーター・ダムのところまで行ってその名演を称えた。

 78年の時だったと思うが,プログラムに掲載されたメンバー表に,コンサートマスターとして4人の名前が載っていた。そのうち3人はヴァイオリン奏者としても名前があるのだが,もう1人がなぜか載っていない。なおよく見たら,4人目の人はチェロ奏者だった。チェロの首席をコンサートマスターの1人として遇していたのだった。

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