« バイエルン国立歌劇場1974 (1)――70/80年代の外来オペラ | Main | ビアフェス2008 »

Jun 01, 2008

バイエルン国立歌劇場1974 (2)――70/80年代の外来オペラ

承前
 さて,『ばらの騎士』当日の9月24日,5時半開演なので5時に会社を飛び出し,神田駅まで小走りに歩いて山手線に乗り,上野へかけつけた。
 席は4階センターの2列目あたりで,まず前奏曲が4階席までわき上がるような音の奔流で始まった。切符を斡旋してくれた友人から聞いた説によると,前奏曲の途中のホルンのプルルルン・プルルルン・プルルルンという三連音符は,幕が上がる直前に進行している(はずの)シーンのある種のクライマックスの描写だというが,それを過ぎて穏やかな音楽になり,鳥の声が聞こえるといよいよ幕が開く。そこは,後にレーザーディスクで見ることができるユルゲン・ローゼの装置による豪華な室内だった。窓から朝の光がふりそそぐのがことのほか美しく,その後上野ではたくさんの舞台を見てきたが,このときほど舞台が広く見えたことはない。
 4年前のクライバー死去の時に書いたように(→参照),指揮者の音楽を意識する余裕はなかった。豪華な舞台と寄せては返すように流れていく豪華な音に圧倒されるばかりだった。

 ところが第1幕の後半で,オペラ用の緞帳でない幕が突然するすると降りてきて,音楽が止まった。事故にしてはヘンだなと思ったらアナウンスが入り,爆破予告の電話があったので念のため爆弾の捜索を行うので,ロビーへ出ろという。開幕前からの「予定の行動」だったようだが,それならなぜ開演を遅らせて捜索しなかったのだろうと思った。あるいは予告の爆発時刻が7時,というようなことだったのかもしれない。結局40分ぐらいの中断の後,再開された。

 この『ばらの騎士』の歌手は,ギネス・ジョーンズ(元帥夫人),ブリギッテ・ファスベンダー(オクタヴィアン),カール・リッダーブッシュ(オックス男爵)といったメンバーだった。
 後にワグナーを何度も聞くことになるギネス・ジョーンズはこのとき36歳,ホフマンスタールの設定した元帥夫人の年齢32歳とあまり違わない年で,もちろん二十代前半の者から見ると堂々たるプリマドンナだったが,十分に若い姿・声だった。『音楽の友』の表紙を飾ったジョーンズの写真を自室の壁に貼っていた友人もいた。
 ファスベンダーも同年配で,なるほどズボン役というのはこういうものなのかと思った。
 このうち,ファスベンダーとリッダーブッシュには,翌年ウィーンで再び出会う。
 そして,その後のクライバーのカリスマ化は急だった。

 『ばらの騎士』は,次に実演を見るのは1981年のドレスデン歌劇場初来日でのことになる。それまでの間には,カラヤンのザルツブルク音楽祭の映画(1960)を2回ぐらい見た。
 1982年春,クライバー=バイエルンの『ばらの騎士』がNHK教育テレビで放送されるという予告が出たのを見て,あわてて秋葉原へ走り,それまで買うのを躊躇していたビデオデッキ(モノラル)を買った(当時は教育テレビはモノラル)。タイトルが出てすぐ演奏が始まり,最後も幕が降りたあと数秒で番組が終わるという3時間の枠ぎりぎりの放映だった。この映像も,上記カラヤンの映画も,後にレーザーディスク(今はDVD)で発売された。
  (この項続く

|

« バイエルン国立歌劇場1974 (1)――70/80年代の外来オペラ | Main | ビアフェス2008 »

Comments

 ファスベンダー、いいですよね。私は歌曲のリサイタル
を1度聞いたきりで、残念。

Posted by: リンデ | Jun 02, 2008 at 08:38 AM

あの時、わたしも東京文化会館の客席に座っていて、大わらわで避難しました。オックス男爵の家来たちがガヤガヤと入ってくる寸前にスルスルと降りてきたカーテンが今でも記憶に残っています。

Posted by: 【篠の風】 | Jun 02, 2008 at 07:22 PM

こんにちは。残念ながらというか、東京で暮らし始めたばかりの
僕は行ってませんが、同居人が同じく9月24日の公演を3階の左
サイド(B券)で観ています。詳しくは“同居人は見た!”という
感じで近々まとめます。

Posted by: HIDAMARI | Jun 03, 2008 at 11:02 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23118/41388750

Listed below are links to weblogs that reference バイエルン国立歌劇場1974 (2)――70/80年代の外来オペラ:

» 憶話§同居人は見た!~クライバー~[上] [ひだまりのお話]
定期巡回している“I”さんのブログで、1974年ミュンヘン・オペラ 日本公演の様子を取り上げていた。それで、関連したことをまとめて 記憶のすり合わせをしてみよう。 [Read More]

Tracked on Jun 05, 2008 at 07:05 PM

« バイエルン国立歌劇場1974 (1)――70/80年代の外来オペラ | Main | ビアフェス2008 »