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Jun 22, 2008

ウィーン・フォルクスオーパー3連発(下)

承前
 フロトーはもちろん,「軽騎兵」序曲で中学生のころからおなじみのスッペも,オペラは初めてだった。共に他愛のない話としかいいようがないが,ミュージカルに連なる無類の楽しさだった。
 この2曲のうち,『ボッカチオ』の方が登場人物も多く,なによりボッカチオという大詩人を主人公にしていることで話に「厚み」がある。タイトルロールはアルトが歌い,非常に自然だった。これは戦後ずっと男が歌っていたのを,この演出で原曲通りのズボン役に戻したのだという。
 第1幕の舞台はフィレンツェの広場だが,ステージの奥行きの関係か,広場には見えず,街角の狭いスペースにぎっしり人が集まっていた。そこで「ベアトリねえちゃん~三馬鹿の歌」(浅草オペラでの題名)を歌う間抜け男トリオの1人は,シャンドール・ネーメットだった。ネーメットは,1985年に『チャールダーシュの女王』のフェリ・バーチ役で「ヤイ・ママン」の熱唱を聞いて以来,深く記憶にきざまれている歌手で,今回はこの日のみの出演。もう70歳近いはずで顔はさすがに老けたが,身のこなしは若い。

 フロトーはスッペより7歳,ワグナーより1歳年上で,しかも『ボッカチオ』がスッペ60歳のとき(1879)の作品なのに対し,『マルタ』はフロトー37歳のとき,つまり1847年初演という「古い」曲である。
 このオペラの「主題歌」は「夏のなごりのばら」,つまり「庭の千草」である。(字幕では終始「庭の千草」というタイトルを表示していたが,「夏のなごりのばら」としないとその前後の歌詞との関連がわかりにくい。) ほかに冒頭その他で歌われる合唱の曲は,日本では昔「じいさん酒飲んで酔っぱらって死んじゃった」という歌詞で知られていた。
 物語の焦点となる上流階級と庶民の交錯がおもしろく描かれていた。歌手もそれぞれ良かったが,マルタ役が非常に「庶民的」で,あまり「実は高貴」という感じがしなかった。

 この『マルタ』のすぐあと,新国立劇場の07ー08シーズンが終わった。あとは演奏会形式の『ペレアスとメリザンド』で今年前半のオペラは終わりの予定である。

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Comments

 おお、ネーメット健在ですか。これはうれしい
お知らせです(^_^)

Posted by: リンデ | Jun 22, 2008 at 08:47 PM

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Tracked on Jun 22, 2008 at 11:41 AM

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