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Aug 09, 2008

『ロゼッタストーン解読』

 レスリー&ロイ・アドキンズ『ロゼッタストーン解読』(新潮文庫)を,目の手術による中断を挟んで2か月近くかかって読み終わった。ヒエログリフを解読したシャンポリオンの物語である。
 ヒエログリフ解読の経緯についてはすでに何冊も本が出ている。比較的最近では,S・シン『暗号解読』(新潮文庫)の中にも,音価推定の方法が要領よく書かれていた。それに対し,この『ロゼッタストーン解読』は,フランス革命に始まる動乱の中に生きたジャン=フランソワ・シャンポリオン(1790-1832)という人物の物語である。ただし,最初の1章は,ロゼッタストーン発見を導くナポレオンのエジプト遠征の話であり,その30年後のシャンポリオンのエジプト調査の章と照応している。
 シャンポリオンが学問を身につけ,ヒエログリフ研究をする上で,12歳年上の兄ジャック=ジョゼフ・シャンポリオンの果たした役割が非常に大きかったことを,この本で初めて知った。

 シャンポリオンはバスティーユ襲撃の翌年に生まれ,革命とナポレオンの登場・即位・退位といった荒波に翻弄された。さらに家庭の問題,自分の結婚問題,学問上の戦い,研究成果出版の困難,大学での地位をめぐる争い,エジプトへの困難な調査旅行などなど,昔の少年少女向け小説のように,どうしてこんなに次々とと思うほど苦難が襲いかかる。
 そのうち,学問上の苦難のかなりの部分は,画像情報の迅速・正確な記録・伝達手段がなかったことによる。シャンポリオンは,解読の基礎資料となるヒエログリフ文書の正確な複写を十分な量手に入れるのに苦労した。ロゼッタストーン碑面のきちんとした画像すらなかなか見ることができなかった。エジプトへの調査旅行には,記録のために画家数名が同行した。当然時間がかかり,シャンポリオンの体力は消耗した。
 シャンポリオンにデジカメをプレゼントしたかった。

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