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Sep 25, 2008

名人の演奏――アンドレとパールマン

 名人の演奏に接するとその楽器の演奏がとても簡単なもののように思える,ということを実感したのは,30年ぐらい前,トランペットのモーリス・アンドレと,ヴァイオリンのイザーク・パールマンの演奏を聞いたときである。
 アンドレの演奏会は弦楽合奏の伴奏で,曲目はよく覚えていないが,最後はソプラノ歌手を伴ったバッハのカンタータ第51番で終わるプログラムだった。口笛でも吹くように決して力まずに楽に音を出すので,いくら吹いても疲れない楽器であるかのような印象を与えた。基準の音量は小さめにしておいて大きな起伏を作る運び方も鮮やかだった。
 パールマンは,アシュケナージの伴奏で,「スプリング」「クロイツェル」ほかのベートーヴェンのソナタ3曲のプログラムだった。パールマンも,本当に鼻歌のような軽やかさ(?)での演奏で,休憩時にばったり会った女性ヴァイオリニストと「ヴァイオリンって,簡単なんですね」などいう話をした覚えがある。

 2人とももちろんメカニカルな名人芸もすばらしかったが,特にそうした名人芸を必要としない部分でも,極端に言えばひとつの音を伸ばしているだけでも,人を納得させるものがあった。このあたりは,ピアノの名人芸とは少し事情が違う点がある。

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