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Sep 16, 2008

ゼフィレッリの映画『トラヴィアータ』

 ずっと前にタモリが,ミュージカル映画は嫌いだという話をしていた。なんでいきなり歌い出すんだよ,それも街中で伴奏がついたりしてさ,というわけである。確かに歌の導入がちょっと強引なこともあるが,そこがなんとかなってしまうのが「歌の力」でもあるのだが。
 ミュージカル映画,オペラ映画は,歌手が自分で演技をする場合でも,当然,先に収録した音楽に合わせて演技する「口パク」になる。オペラ・ファンの中には口パクを嫌う人がときどきいるが,映画のリアルな画面で見るオペラにはステージ収録とは別の魅力がある。

 『ラ・トラヴィアータ』は,第1幕および第2幕第1場で,広間でのパーティの場面と1人または2人の場面とが交互にあり,ステージでは群衆を自然に移動させるのが難しい。
 第2幕第1場で,ヴィオレッタが心ならずも言う言葉にアルフレードが激怒し,パーティの客を呼び集める場面がある。館内放送もないのに大勢の客を短時間で集合させるのはなんだか不自然だが,ゼッフィレッリ監督の映画版(『トラヴィアータ――1985・椿姫』という妙な邦題がついていた)では,皆を呼び集めるのではなくて,皆のいる広間へヴィオレッタを引きずっていく。美しい屋敷のセットの中で,十分なリアリティがあった。

 この映画,最初に日本で公開されたとき,映画館に見に行った。リアリティと字幕のある天下の大悲劇に,最後は涙を浮かべてしまったが,終わった後,後ろの席の女の子たちは,「なにこれ,なんで歌ばっかりなの」とのたまわった。

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Comments

 私はあの椿姫いまいち好きじゃないんですよ。
突然アルフレードが現れて歌いだしたりする
でしょ?
 それと、すべてはヴィオレッタの末期の幻影
だった、とする演出はあれが確か最初のはず。

Posted by: リンデ | Sep 19, 2008 at 07:27 PM

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