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Nov 09, 2008

ロイヤル・オペラ1979 (2)――70/80年代の外来オペラ

  (承前)
 『ピーターグライムズ』の2日後,こんどは『魔笛』を,アウグスト・エファーディング演出の美しい舞台で見た。パミーナは予定のコトルバシュは出演せず,かなり大柄で,割と若いらしいのに老け顔の人(名前は記録していない)が代役として出てきた。その絵姿にタミーノがほれてしまうことはなかろうと思ってしまった。コトルバシュだったらなかなか可愛いパミーナになったはずなのにと,ずっと後でコトルバシュの顔をレーザーディスクを見て思った。(結局,コトルバシュは生では聞けなかった。)他の歌手は,特に男声がスチュアート・バロウズ,ロバート・ロイド,トーマス・アレン,イングヴァー・ヴィクセルという充実した顔ぶれだった。
 このとき『魔笛』を見るのは3回目だったが,第2幕大詰めの「パ,パ,パの2重唱」で小さなパパゲーナ,パパゲーノが飛び出してくるのは初めてで,びっくりした。たまたまこの日のカーテンコールで,指揮者・音楽監督のサー・コリン・デイヴィスに赤ちゃんが生まれたことが紹介され,花束が贈られたということもあって,印象に残っている。

 次は10月4日に『トスカ』を見た。少し間が空いたのは,NHKホールを避けて神奈川県民ホールを選択した結果だが,結果的にはこれが幸いして,予定通り若きホセ・カレーラスのカヴァラドッシを聞くことができた。
 後から聞いたところでは,カレーラスは最初はちゃんと歌ったが,その後何回かはキャンセルし,その間実はカラヤンの『トスカ』のレコーディングのためにベルリンへ行っていたのだという。
 プッチーニを見るのは『蝶々夫人』に続いて2回目。演出は贅沢にもフランコ・ゼフィレッリ。トスカはモンセラット・カバリエで,カレーラスより14歳年上というのはともかくとしても,なにしろ大柄で貫禄十分だから,最初に登場したときは,「マーリオー,マーリオー」「なんだい,おっかさん」という感じだった。でも,歌は意外なほどかわいらしくチャーミングなのはさすが。スカルピアはイングヴァー・ヴィクセルで,すばらしい悪役ぶりだった。
 圧倒されたのは,第1幕の終わり,後にメトのレーザーディスクで見ることになる古典的・写実的な舞台で,合唱が「テ・デウム」を歌い,スカルピアがトスカへの欲望を独白する場面である。特にそのころ,オペラで合唱が出てきて舞台がいっぱいになってくると,それだけでわくわくしていたりしたのだが,このときはそれまでと違う次元の興奮を覚えた。あわせて,プッチーニはすごい,聞かなければ,と思った。
  (この項終わり)

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Comments

 コトルバシュは、その歌手歴からいえば晩年に
聴きました。リサイタルと藤原の椿姫。
藤原の椿姫は、もう声のコントロールができない
感じでしたが、あのはかなげなヴィオレッタは
やはり記憶に残っています。

Posted by: リンデ | Nov 10, 2008 at 06:45 AM

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