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Nov 23, 2008

オーディション――ブロードウェイとベルリン・フィル

 オーディションを扱った映画を2つ続けて見た。ひとつは『ベルリン・フィル 最高のハーモニーを求めて』(→参照),もうひとつは『ブロードウェイ・ブロードウェイ』(→参照;いきなり音がするので注意)。

 『ブロードウェイ・ブロードウェイ』は,「コーラスラインにかける夢」という副題が示すように,ミュージカル『コーラスライン』をブロードウェイで再演するメンバーを決めるための8か月にわたるオーディションの記録である。初演の時の不鮮明な記録フィルムと初演関係者の座談会の音声が,進行するオーディションの間に挟まって紹介される。
 3000人の中から,選ばれるのは19人。熾烈な競争社会の中に,アメリカン・ドリームがまだある。日本人では,Yuka という沖縄出身の女性が挑戦し,コニーの役を勝ち取る。
 映画は,後に合格する何人かがオーディションに出発するところから始まる。もしすべて「記録」だとしたら,膨大な人数についてこれを撮影しなければならなかったはずだ。あるいは,後から収録した「演技」もまじっているのだろうか。

 『ベルリン・フィル 最高のハーモニーを求めて』は,2005年のサイモン・ラトル指揮のアジア・ツアーの記録で,たくさんのメンバーへのインタビューがちりばめられる。コンサートマスターの安永さん,ヴィオラの清水さんなども登場する。
 オーディション自体を扱っているわけではないが,きわめて高水準の中での苛烈なオーディションの後の1年間の試用期間を過ごしている奏者が4人いて,緊張と不安を語る。他の正規メンバーも,演奏の時は,ベルリン・フィルという器楽奏者の超エリートならではの極度の緊張の中にいる。インタビューでは「みんな変なやつばかりだよ」というような発言もあった。
 演奏都市は,北京,ソウル,上海,香港,台北,東京。台北では,演奏後にラトルらが会場のバルコニーに出て,外のパブリック・ビューイングで見ていた万単位の人の熱狂に応える場面が感動的だった。

 昔,東京以外の場所にある日本の某プロ・オーケストラの女性団員と話していて,話題がオーディションのことになったことがある。「オーディションて,とっても異様な雰囲気なんです。もし“脱げ”って言われたら,ほんとに脱がなきゃいけないっていうような」 十分に若い女性の発言だったから,ドッキリした。

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