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Apr 15, 2009

花見バス――タエちゃんと共に

 桜が満開になった日曜日,花見の貸し切りバスが池袋を出発した。参加者は40人弱で平均年齢はたぶん50代後半,大部分は互いに顔見知りだが,顔は知っていても名前も職業もわからない人が多い。そもそも,太陽の下で,またしらふで顔を合わせるのは初めてという集団である。
 当初の予定では,墓参りツアーだった。そう,1月に急死した居酒屋Fの肝っ玉姐さんタエコさんの墓参りである(→参照)。あまりに突然のことで,常連客も葬儀が終わってから知る人が多かったということもあり,最古参の客であるIさんらによってバスツアーが企画された。しかし,納骨の予定が変わったので目的地を変更し,タエコさんが住んでいた川崎へ,追悼の花見に行くことになった。

 バスには「Fの会」と表示されていた。近くのデパ地下に勤めている人が弁当やつまみ,飲み物を手配した。次々と到着する段ボール箱を皆でバスに積み込んだ。Fの同僚の従業員も何人か参加した。もちろん,タエコさんの遺影も同行する。
 目的地の公園はかなりの人出だったが,幸い,シートを広げてゆったり座れる場所が確保できて,真ん中に花と遺影を飾った。立派な花見弁当が配られ,「長屋の花見」ではありえないようなデパ地下の一流店の寿司,ローストビーフ,漬け物などが並んだ。
 にぎやかな宴となり,見たところ普通の花見の光景だったと思うが,話はときどきタエコさんのことに戻って,「タエちゃんがいないとねえ」「でも,こうやってみんなが集まって,タエちゃんも喜んでると思うよ」としんみりする。桜は満開,日差しは暖かく,絶好の花見日和で,「やっぱりタエちゃんの功徳だね」という話になった。

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