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Jun 15, 2009

新国立劇場『チェネレントラ』―― 鼻の差でなく

 『チェネレントラ』は今まで前世紀に2回しか見たことがなかった曲である。それが今年は,メト・ライブビューイングで見て(→参照),わずか2週間後に新国立劇場で実演を見る,という巡り合わせになった。メトのがとても良かったので,先日は「(新国立劇場のを)これと比べてしまうと…」などと心配を書いた。しかし,その後予告をよく見たら,王子ラミーロ役は,去年『どろぼうかささぎ』で名演を聞かせてくれた第一人者アントニーノ・シラグーザだったので,ラミーロに関してはメトに負けないだろうと思った。
 そして6月14日,新国立劇場は沸いた。曲が進むにつれて歌手も乗ってきて拍手も盛大になり,シラグーザは2幕で鮮やかにハイCを決め,終結部をアンコールまでした。他の歌手も,いじわるお姉さん役の日本人2人を含めてそろって好演,アンサンブルにわずかに決まらない箇所はあったが,演出(ジャン=ピエール・ポネル)の良さが決定打となって,全体としてはメトを(鼻の差でなく)首の差ぐらいで上回るすばらしい上演だった。
 メトにかなわなかったのは,アンジェリーナ(チェネレントラ)役の美貌と若さ。休憩時に飲み物カウンターの行列ですぐ前にいた小学生ぐらいの女の子が,「アンジェリーナって,なんであんなに怖い顔なの」と母親に尋ねていた。(昔見たルチア・ヴァレンティーニ=テッラーニはもっと怖い顔だったが。)

 このプロダクションはミュンヘンから借りてきたもので,プログラムには,2007年のミュンヘンの舞台の写真が載っていた。ラミーロは今回と同じシラグーザ,合唱には篠の風さんの姿(斜め後ろからだが)も写っている(→参照)。
 20年以上前に死去したポネルの演出は,その後「再演演出」のグリシャ・アサガロフが活を入れているためか,今も生き生きしていて無類に楽しい。81年スカラ座の『セビリャの理髪師』を思い出した。(ポネルの『チェネレントラ』には映画版の映像があり,フォン・シュターデがチャーミングだ。)
 今回の『チェネレントラ』は,あと17日・20日(共に2:00)に上演がある。まだの人は見るしか(←iio 調)。

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Comments

楽しいオペラですよね。

東京の新国立劇場に舞台装置、衣装などを全て売り払ったのかと勘違いしておりました。とするとまたミュンヘンに戻ってくることになりますね。本当に息の長いプロダクションです。(^_^)

Posted by: 【篠の風】 | Jun 16, 2009 at 12:01 AM

笑。ワタシは17日の公演に行きます。ますます楽しみになってきました。

Posted by: iio | Jun 16, 2009 at 10:09 AM

>篠の風さん
プロダクション全体として移植したものなので「借りてきた」と書きましたが,プログラムには「大道具製作 バイエルン州立歌劇場」とあるだけで,舞台装置等を「返す」かどうかをうかがわせる文言はありませんでした。東京も,普通なら再演を目指して舞台装置を保管します(倉庫が千葉県にある)から,返すとしたらだいぶ先かもしれません。

Posted by: 家主IZK | Jun 18, 2009 at 08:21 AM

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