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Oct 04, 2009

芭蕉と同月同日――『鉄道奥のほそ道紀行』

 芦原 伸『鉄道奥のほそ道紀行――週末芭蕉旅』(講談社)を読んだ。東京から週末に計10回出かけて,「奥の細道」のルートになるべく近い鉄道路線を鈍行でたどるという旅の記録である。それだけなら似たようなことをした人は何人もいたと思うが,この本の一番のミソは「名句が生まれた場所に,それぞれ,芭蕉と(新暦換算で)同月同日に立つ」という旅をしたことである。
 芭蕉が深川の庵を発ったのは旧暦3月27日,新暦だと5月16日のことだったが,著者はそれから319年後の2008年5月17日に出発した。行程は約2400キロ,芭蕉はところどころで長期滞在するので155日かかっていて,月平均2回の週末に出かけるとちょうど芭蕉と同じペースになるというわけである。なるほど,こういう旅もあるのか。芭蕉の歩みと,鈍行列車の速さ,そして新幹線での往復にかかる時間が絶妙にかみあってこうしたことが可能になっているのだが,これを実行するにはかなりの努力を要する。
 小さめの活字で300ページ以上あり(芭蕉当時の俳諧をめぐる状況,「奥の細道」成立の事情,連句というものなどの説明がちょっと長い),10回の旅を1日1回分ずつ詠んだ。地図・写真多数,「鉄」関係の脚注もついている。旅の内容もそれを語る文章も,ふつうの鉄道紀行とは大いに違う主張がある。

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Comments

 おもしろそうな本ですね。当時の景観はいまは
のぞむべくもないでしょうが。

 「奥の細道」は、実際の旅行からはかなり脚色されているそうです。
日程が違っていたり。

 芭蕉の心の旅だからそれでいいのかもしれませんね。

Posted by: リンデ | Oct 05, 2009 at 02:57 PM

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