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Dec 26, 2009

軽率なアモナスロ――『アイーダ』第3幕

 メトの最新の舞台を収録した高品位画像を上映する「メト・ライブビューイング」の2009-10シーズンが10月末から始まり,最初の『トスカ』はパスしたが,先月,2つめの『アイーダ』を見た。前に書いたように,スカラ座の来日公演と同じヴィオレッタ・ウルマーナ(アイーダ)とヨハン・ボータ(ラダメス)というコンビだった。
 ボータは,スカラ座のときは相撲取りみたいだったが,メトではごまかしが効く長い衣装だったせいで,なんとかサマになっていた。(幕間には,ボータへのインタビューもあった。)舞台はメトらしい豪華なもので,凱旋の場では白馬も登場した。

 『アイーダ』の物語で,今回も疑問に思ったのは,第3幕でのアモナスロ(アイーダの父;実はエチオピアの王)の行動である。捕虜の身代わりになっているはずなのに自由に歩き回っていて,宮殿でない屋外でアイーダに会うのがまず不思議だ。それはまあともかくとしても,そのすぐ後でラダメスがアイーダにエジプト軍の機密情報を話すのを陰で聞いたとき,黙ってほくそ笑んでいればいいのに,なぜ出てきて「(エジプト軍の通るのは)ナパタの谷か」などと叫ぶのだろう。そこでアモナスロが拘束されたら,せっかく得た情報を味方に伝えることができなくなって,スパイ活動をした意味がまったくなくなるではないか。
 ラダメスはエジプトを捨ててアイーダと共にエチオピアに逃げる決意をしたのだから,ラダメスからさらにエジプト軍の機密情報を得れば闘いは圧倒的に有利になり,エチオピアにとってはすべてハッピーになるはずだった。もし,どうしても悲劇にしたいのなら,アイーダとラダメスがなんらかの必要があって祖国のために犠牲になることにすればいいと思うのだが。
 しかし,アモナスロの言動がすべてをぶちこわしてしまう。

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