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Mar 08, 2010

「トリオ」という言葉

 中学で吹奏楽を始めて最初に演奏した行進曲「双頭の鷲の旗の下に」(→参照)は,中間部で転調してフラットが1つ増え,その後最初に戻って主部を繰り返す三部形式になっていた。このとき,行進曲の中間部をトリオというのだと教わった。
 そのころすでにお笑いのトリオがあったし,トリオ・ロス・パンチョスのレコードがヒットしたりして,「三人組,三重奏」という意味のトリオは子供でも知っていた。しかし,これと行進曲のトリオは関係のない言葉だと思っていた。
 その後,各種ソナタのメヌエットやスケルツォにも,バロックの組曲の中の舞曲にもトリオがあることを知った。
 そして,バロック時代の舞曲の中間部を,全員合奏による主部との対比のために2つの旋律楽器と通奏低音のトリオで演奏したことから,やがて広く中間部をトリオというようになったということを知ったのは,ずっと後のことだった。
 「双頭の鷲の旗の下に」はトリオのあとダカーポするが,行進曲ではダカーポしないで終わるものが実際には多い。特に,マーチ王スーザや,イギリスのケネス・アルフォード(「ボギー大佐」――「クワイ川マーチ」の原曲――の作曲者)などの曲は大部分ダカーポなしである。その場合も,後半部はトリオと呼ばれる。ここでは,トリオは中間部ですらなくなっている。
 「トリオ」という言葉は,なかなかに数奇な運命をたどった。

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