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May 08, 2010

困った巨匠たち――シェトレ 著『指揮台の神々』

 2003年に出た『指揮台の神々――世紀の大指揮者列伝』(ルーペルト・シェトレ 著,喜多尾道冬 訳;音楽之友社)を,遅ればせながら読んだ。470ページの大冊だが,読ませる文章につられてどんどん読んでしまった。
 扱われているのは,ハンス・フォン・ビューロー,ハンス・リヒター,ニキシュ,マーラー,トスカニーニ,ワルター,クレンペラー,フルトヴェングラー,クナッパーツブッシュ,ベーム,カラヤン,バーンスタイン,ラトルの13人。このうちラトルはバーンスタインより1世代以上若く,今も「現役」で,なんだか取ってつけたようである(原書は2000年刊)。
 いちばん印象に残ったのは,巨匠たちがそろいもそろって猜疑心のかたまりで,やなやつ・困ったやつであることだ。自分の地位をおびやかすスター指揮者の登場を恐れ,新しい楽員に疑惑のまなざしを向ける。昔の常任指揮者・音楽監督は,そういう「能力」がないと務まらなかったということでもあるのだろうが,周りの人間はたいへんだ。かろうじて個人的につきあってもいいかなと思うのは,ワルターとクナ(とラトル)ぐらい。

 13人のうち,私がナマで聞いたことがあるのはベーム,カラヤン,バーンスタインの3人である(いずれも来日公演;ベームはウィーンでも1回聞いた[参照 →本拠地])。上記リストのそれ以外の人たち(ラトルを除く)は来日していないから,クナ以前の人を聞けた日本人は,ごく限られていたはずである。フルトヴェングラー(1954年死去)を聞いたことがある人で健在なのは,吉田秀和氏ぐらいかもしれない。
 ちなみに,1950~60年代の欧米のコンサートを聞きまくった記録としては,植村 攻『巨匠たちの音,巨匠たちの姿――1950年代欧米コンサート風景』(東京創元社)がおすすめである。

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Comments

 確かに円満で、温和な指揮者さん、って想像
できないかもしれませんねぇ。幸せすぎる人か
らはいい音楽は生まれないのかしら。

Posted by: リンデ | May 08, 2010 at 01:01 PM

植村攻さん、2014年11月逝去されました。ご冥福をお祈りいたします。

Posted by: BM | Dec 24, 2014 at 12:05 PM

お知らせをありがとうございました。あの本はたしか新版が出ましたね。

Posted by: 家主IZK | Jan 01, 2015 at 11:39 PM

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