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Jun 12, 2010

右から左

 商用車の右横腹に横書きで社名・店名を書くとき,車の進行方向に合わせて前から,つまり右横書きで書くことが,かつてはあった。今でもたとえば「ンパノヤラムキ」などと書いた車を見かけるが,だいぶ少数派になったように思う。
 車に書かれた右横書きの例で,長らく忘れていたのに最近思い出したのは,30年以上前に某地方都市で見た「トンタルサンコ」。これを思い出したのは,樽床(たるとこ)さんという珍しい苗字を見たのがきっかけだった。

 戦前は,看板や駅名などがしばしば右横書きで書かれた。新潟県の信越本線の荻川という駅では,駅名の下に前後の駅の名が「ついに|だめか」と書かれていた。荻川は新津と亀田の間にあり,前後の駅名を知っている人も「遂に駄目か」と読んでどっきりしたという。(今は新津と荻川の間に新しい駅ができたので,右横書きにしたとしてもこういう表示にはならない。)

 戦後,山手線の駅長が集まって,駅名を右から書くか左から書くかを協議した。しかし,意見はまっぷたつで紛糾した。「ちょっと,ずーっと黙っているそこの方,意見を言ってくださいよ」「どっちでもいいです」「どっちでもじゃ困るんですけど」「いやどっちでも同じですから」その人は,右から書いても左から書いてもかな表記は同じになるT駅の駅長さんだった… という「新作落語」を,子供のころ,たぶんラジオで聞いたことがある。戦後十数年のころだから,大人にとってはまだ十分にリアリティがあったのだろう。

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