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Oct 02, 2011

バイエルン州立歌劇場『ローエングリン』

 9月29日,平日4時開演のバイエルン州立歌劇場『ローエングリン』(NHKホール)に出かけた。
 タイトルロールは元々ヨナス・カウフマンだったのだが,メト,ボローニャに続いて降板し,代役にはヨハン・ボータがやってきた。ボータを初めて聞いたのは,実は2005年12月ウィーンのローエングリン(→参照)だった(そのあと2009年のスカラ座公演のラダメスで初来日した)。美声だけど,騎士というよりは力士という体型がどうもねえ,と思っていたが,今回はまったく騎士らしくない現代的な服装だったので,見た目はあまり気にならなかった。

 最初から幕が開いていて,人が後ろ向きに立っている。この人が,家の図面を描いていく。1幕が始まると,人々がこの図面に沿って石を積んでいくのだが,そのなかのつなぎを着た女性がエルザなのだった。以下,2幕では壁ができ,2幕の最後に屋根が乗っかって,新居が完成する。主役の2人は歌う前から舞台でペンキを塗るのに忙しく,通常より長く舞台に出ていた。
 上記のウィーンの『ローエングリン』はそのとき新演出になったもので,真っ暗な中で蛍光塗料がうごめき,エルザは盲目で,最後には(ゴットフリートの?)胎児が登場するという珍妙な舞台だった。それに比べると,今回の演出ははるかにまともで,特に好まないけれど,まあこういうのがあってもいいと思った。ただ,最後の場面で合唱が全員ピストルを頭にあてるのは,まったく意図不明。合唱のメンバーのKさんに後で聞いたら「あの場面でいつもしらける」とのこと。

 エルザ(新国立劇場で何度か聞いたエミリー・マギー)もローエングリンも,最初がちょっと不安定だったが,間もなく立ち直り,声楽の水準は総じて高かった。ボータは,よくコントロールされた無理のない美声で,上記Kさんは「声の若さと強靱さで現時点では最高のローエングリン歌いだと思う」という。考えられるいちばん大物の代役がやってきたことになる。
 震災後,というより原発事故後の状況下で,メトもボローニャもバイエルンも,歌手の交代その他いろいろなドタバタを経て,これだけのレベルの公演を実現させてくれたことについては,各歌劇場とその関係者に感謝あるのみである。

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