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Mar 20, 2012

新国立劇場の舞台裏

 震災から1年の3月11日,国立劇場では追悼式が行われたが,そこから5.2kmほど西の新国立劇場では『さまよえるオランダ人』の公演が行われた。
 新国立劇場では公演の終了後にときどきバックステージツアーをやっているが,この日初めてそれに参加することができた。『さまよえるオランダ人』の開演前に申込み,終演後に抽選結果が発表された。定員30名で,今まで何度も応募したがいつもはずれ,今回初めての当選だった。倍率は7倍ほどだったという。

 案内されてあらためて客席に入ると,ステージの中央奥には幕切れの時のままオランダ船の舳先があり,その手前では,4月公演の『オテロ』で使う水槽を奈落に降ろす作業が行われていた。この『オテロ』は舞台はヴェネツィアに設定され,ステージには常に水が張られている。その水槽を奈落に保管しておくのだそうだ。

 上手側からステージに上がった。オランダ船の舳先は,傾斜が30度と40度の2段階に変えられるようになっていて,裏側には律儀に2本階段があり,それぞれの角度のときに踏み板が水平になるように作ってあった。階段の間には,前方に出るタラップがあり,すべてリモコンで操作する。
 メインの舞台のほかに,同じ大きさの脇舞台(左右各1)と奥舞台があるから,緞帳の向こう側の面積は客席の平面積より大きい。奥舞台の後ろには搬入口があり,大道具を運ぶトラックが横付けされているのが見えた。
 面積も大きいが,奈落は深いし,天井は高い。2幕のゼンタの家は,前が開いた箱型の壁・天井からなるが,これも高いところにあるバーに吊り下げて「保管」されているのだった。これはけっこうしっかりした木で作ってあって重そうだ。袖には,2月の『ラ・ボエーム』のパリの建物の一部が置かれていた。
 小道具もそれぞれ工夫があり,例えばオランダ人の絵は,落ちても傷まないように,額縁が風船のようなクッションでできていた。オランダ船に向かって投げる酒瓶も,見かけはガラスだが,触ると柔らかい(投げられた物は,舳先の裏側でタラップ等の操作に当たる人がすぐに拾い集めるという)。棚には女達が食料や酒を入れて持ってくるバスケットが置かれ,合唱のメンバーの名札がついていた。

 今回見学したのは舞台周りだけだが,この部分だけでも相当な手間と金がかかっていることは見てとれた。オペラの上演には,このほかに少なくとも照明関係,衣装・かつらの製作が必要であり,これに加えて演出関係と音楽のスタッフがいるわけで,「総合芸術」というのは,金と手間を総合してやっとできる芸術という意味でもあるようだ。P3116134


   →舞台から見たオケピットと客席


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Comments

あの、絵が落ちるシーンはよかったですね。
でもやっぱり、ゼンタのバラードがおしかったなぁ

Posted by: リンデ | Mar 21, 2012 at 06:29 PM

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