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Mar 11, 2012

震災とマーラー ――1周年の日に

 大地震から1年,いろいろなことがあって,長い1年だった。去年のこのブログでは,その直前には「菜の花とホタルイカ」などというのんびりした季節の話題を書いていたのが遠い世界のことになった。
 地震の1年と10日前に自宅の引っ越し,3か月前に会社の引っ越しがあった。仮に地震がちょうど1年早かったら,自宅の引っ越しはできず,会社ではうずたかく棚に置かれていた積年の資料や本が崩れ落ちて惨憺たる状態になっていたところだった。もうひとつ,税金の申告を3月7日にすませてあったことが個人的には大きな幸いだった。

 あの日,東京の大部分では電気,水道は止まらず,インターネットもほぼ無事だったのでなんとか一応の秩序が保たれたが,交通機関はほぼ全面的にストップした。そんな中で,当日19時15分からすみだトリフォニーで行われた新日フィルの演奏会のことを扱ったテレビ番組が,昨日(3月10日)夜,NHKで放送された。指揮はダニエル・ハーディング,曲はマーラーの5番,集まった聴衆は105人。当日の固定カメラによる記録映像(一部は6月に開かれた同じ曲・指揮者によるチャリティー・コンサートの映像も使用)と,指揮者・楽員・事務局,そして当日聞いた客の証言で構成した番組である。
 新日フィルが当日演奏会を行ったというのはその直後に聞いた(→参照)。その時,楽員はどうやって会場に行けたのだろうと不思議に思ったが,実際には,会場でのゲネプロが3時15分からなので,地震のときには大部分が会場入りしていたのだった。なるほど,2日連続の演奏会の初日なので,ゲネプロがある。
 ホールが無事であることを確認して,事務局は4時半ごろに演奏会の実施を決断し,Twitter で情報を流したという。指揮者が老大家でなく若いハーディングだったのも,演奏会決行に背中を押した要素だろう。もしあと2時間ぐらい時間があったら周囲の状況ももう少しわかって,実施にはならなかったのではないか。
 楽員の大部分と聴衆の一部は当然帰宅困難者となり,ホールで一夜を明かした。翌日の演奏会は中止になった。

 マーラーの演奏は珍しいことではなくなったと言っても,2番・3番・8番の演奏は依然として特別な祝祭である。よりによって震災の10日後の3月21日,かつて所属していたオーケストラが,マーラーの2番《復活》の演奏を決行した(→参照)。それは,聴衆にもオーケストラのメンバーにも,そして当日の指揮者にとっても特別な経験になった(→参照)。

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