« 特別な動詞 | Main | 新国立劇場のヴェネツィア・ツアー »

Apr 25, 2012

小銭不要の歴史

 プリペイドカードの始まりは音楽CDと同じ1982年のテレホンカードだった。最初は,街中では売っていなくて,わざわざ電話局へ買いに行った。都内から実家へは市外電話だったから,十円玉を用意せずに公衆電話から電話できるのは本当にありがたかった。

 これに続いたのが国鉄のオレンジカードである。券売機で切符を買うためのカードだから,切符を買う手間は必要だったが,90年代になると,そのまま改札を通れるイオカード(JR東日本)に代わった。
 イオカードと同様の首都圏の私鉄の共通カード「パスネット」は,関西圏に比べるとだいぶ遅れて,2000年に始まった。この時点で,日常生活での小銭の必要性は大きく低下した。少なくとも,小銭の持ち合わせがなくて困るということがほとんどなくなった。
 イオカードはさらに進化して,2001年に非接触式のカード Suica が登場した。これはやがて,乗車券として以外の目的にもしだいに使用されるようになり,「お財布ケータイ」として携帯電話の機能のひとつにもなった。

 2007年,首都圏私鉄の同様のカード Pasmo が登場して,Suica との相互乗り入れを始め,1枚のカードで切符を買わずにほとんどすべての鉄道に乗れるようになった。定期も同じ方式のカードになり,乗り越し精算も自動で行えるようになった。電車の定期入れも,以前は改札を通すために定期を取り出しやすいものを使っていたが,非接触式なら取り出す必要がなくなった。これに加えて,小銭不要に関しては,その後間もなく Suica/Pasmo でバスにも乗れるようになったことが大きい。
 すっかりこの状態に慣れてしまっているが,考えてみるとまだ5年しかたっていない。かつては東京文化会館での演奏会のあと,上野駅でJRの券売機前が大行列になり,切符を買うのに5,6分はかかった。上野到着時に買っておくということもしたが,買ったのを忘れてまた買ってしまうこともあった。それが,今は切符を買うという行為をまったくしなくなった。さらに,車のETCカードはカードを機械にかざすことすら必要がない。
 Suica/Pasmo は「オートチャージ」設定が可能なので,残高が少なくなると自動的にチャージされる。自分で払っているのだが,なんだか「養老の滝」状態である。個々の交通費がいくらだったかという感覚も希薄になってしまった。

|

« 特別な動詞 | Main | 新国立劇場のヴェネツィア・ツアー »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23118/54554556

Listed below are links to weblogs that reference 小銭不要の歴史:

« 特別な動詞 | Main | 新国立劇場のヴェネツィア・ツアー »