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May 2012

May 27, 2012

相撲は「音がいい」

 少し前に,テレビのスポーツニュースのゲストに落合(元中日監督)が出ているのを見ていたら,話が相撲のことになった。落合は相撲が好きで,国技館に行くと昼から6時間ぐらい見ているという。相撲の何がいいですかと聞かれ,彼は「音がいい」と即答した。
 これはまったく同感で,大相撲は光と音の「劇」的空間,と前に書いたことがあるが(→参照),ナマで見るときの気分の高揚は視覚より聴覚によるところが大きい。呼び出しや行司の声,拍子木の音,場内アナウンスに,観客のざわめきが徐々に加わって,やがて大歓声やどよめきが混じるようになり,結びに向かって長大なクレッシェンドをなす。考えてみると,野球の場合も,ナマの魅力はサラウンドの音とも言える。

 昼から相撲というと,三段目ぐらいだろうか。私がいちばん早くから見たのは,幕下の真ん中へんからだった。幕下の途中,十両の取組の5番前ぐらいに,十両の土俵入りというのがある。やることは幕内の土俵入りと同じで,一人ずつ土俵に上がり,全員そろうと両手を上げたり化粧まわしをちょっと持ち上げたりで,一瞬で終わる。幕内より人数が少ないので,すき間を空けて並ぶのが幕内との違いである。

 五月場所は,千秋楽の朝,琴欧洲が休場するまでは優勝の可能性が6人に残るという大混戦だったが,最後は史上初の平幕同士の優勝決定戦となり,旭天鵬が史上最年長初優勝を飾った。中日までに白鵬が3敗し,内容的に水準が低いとも言えるが,史上初の6大関がつぶしあうのは当然だし,いろいろな意味で印象に残る場所となった。

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May 21, 2012

リング・ファンタジー

 今朝(5月21日)の日食,東京では薄曇りで,太陽を覆うベールが厚くなったり薄くなったりという状態だったが,金環食5分のうち通算1分近く,なんとか見ることができた。
 日食観測用の紙製メガネは,3月ごろに通販で買った。前日夕方に家電量販店の前を通りかかったら,「日食グラスは売り切れです」とうれしそうに叫んでいた。
 小学校の時,部分日食を見たときを思い出して,紙にあけたピンホールを通して他の紙に投影する方法も試してみた。

 写真は,観測用のメガネをカメラの前に持って撮ったもの。下の写真は,多重露出をした覚えはないのだが,手ぶれのせいでリング・ファンタジーとなった。
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May 19, 2012

アビイ・ロードより――ポリーニ18歳のショパン

 ビートルズの「アビイ・ロード」のジャケットは,このアルバムの録音が行われた EMI のスタジオのすぐ前の横断歩道を,メンバー4人が左から右へ向かって歩いている写真だが,右から左へ歩いている「逆向き」の写真がこのほど発掘されたという(→参照)。
 「アビイ・ロード」は1969年,日本では大学紛争の時代に発売されたが,その9年前の1960年に同じ場所で録音されたマウリツィオ・ポリーニのショパンの「練習曲」(opp.10,25) のCDを,今年2月にたまたま買った。ショパン・コンクールに優勝してから半年後,ポリーニ18歳のときである。
 初めてポリーニをLPで聞いて驚嘆したのが,他ならぬショパンの練習曲のドイツ・グラモフォン盤(1972年録音)だった。当時ピアノ曲にはほとんどなじみがなかったが,これを聞いたときは,ピアノがうまいというのはこういうことなのかと思った。ひとつひとつの音がきらめいて,踊っていた。
 今回の1960年盤は,1972年盤ほど華麗・壮大ではないが,きらめき度は同様で,若くとも十分に完成された音楽である。リーフレットによれば,本人が発売許可を出さなかったためにお蔵入りとなっていたというが,今回の発売がどのようにして可能になったのかの説明は書いてない。

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May 05, 2012

桜満開の角館へ――ギャラリー

(承前)
 角館 桜ギャラリーです。

武家屋敷通りの桜
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公演で雅楽の公演
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圧巻 檜木内川の桜
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新潮社記念文学館
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桜満開の角館へ

 連休の谷間で他の家族にとっては平日である5月1日は,四半世紀ぐらい前から恒例の「一人旅の日」である。今年は,あまり早くは出発できない,日帰りする,という条件の中で,いくつかの候補地の中から,桜が満開というネット情報に惹かれて秋田県の角館(かくのだて)に出かけた。
 東京駅から「こまち」に乗車,盛岡で新青森行きと別れて先に発車する。秋田新幹線と言っても線路は在来線(田沢湖線)で,景色が近い。カーブも急なところがあり,けっこう揺れるし,単線なので行き違いの停車もある。大釜での交換(上りとの行き違い)は「右側通行」での交換だった。
 あちこちで桜が咲き,新緑と山の残雪が同時に見られるのが,東北の山間の5月1日である。雫石を出ると山登りで,速度が低下する。いくつかのトンネルのうち,やや長いトンネルで県境を越えると下り勾配になり,川には雪解け水が勢いよく流れている。ミズバショウらしき花も見えた。
 山間から町に出ると,田沢湖駅着。駅に,「秋田新幹線開通15周年」ののぼりが出ていた。また峠を越えて,その次のもっと大きい平野の中心が角館,東京駅から3時間20分で着いた。

 角館には前に一度,たしか12月に来たことがある。秋田内陸縦貫鉄道で角館に着き,雪が降ってきてボロ靴の中に浸水し始めたので,あわてて靴を買った覚えがある。それに引き換えこの日は,少し雲があるが,晴れて春たけなわの陽気になった。
 自転車を借りて,古い町並みの方へ。もう1時半過ぎなので,まずは昼食を探し,観光客向けではあるがまあ落ち着いた店で,きりたんぽ鍋定食を食べた。少々汗をかいた。
 桜はあちこちにあるが,しだれ桜の並木になっているのは武家屋敷通り。ポスターなどで見る写真はかなり濃いピンクであることが多いが,葉が出始めていることもあって,実際にはほとんど真っ白の花だった。その合間にも濃い色の八重桜があったり,大きなモクレンがあったりして,色も形も多彩である。
 地域の公園では,雅楽の公演が行われていた。黄色い衣装のオーケストラをバックならぬサイドにして,赤い華やかな衣装の人が舞っていた。演奏はなかなかよく整っていて,前に京都御所で見たときより少なくとも音程は良かった。
 圧巻は檜木内川(ひのきないがわ)沿いの桜だった。まさに見渡す限りで,その長さが2kmというのもすごいが,なんというか,桜の質が良く元気だ。一本一本の木が大きく,花は淡いピンクで密度がかなり高い。土手の上の道は桜のトンネルである。

 武家屋敷などは外側しか見なかったが,桜以外では,「新潮社記念文学館」を駆け足で見た。角館出身の新潮社の創業者が建てたもので,建物の外壁は『雪国』の表紙(もちろん新潮文庫版)になっていた。

 滞在3時間あまりで角館を後にした。まだ明るくて,東北にやってきたおだやかな春を,帰りも車窓から眺めることができた。
                         (写真は次の記事で)

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May 04, 2012

車・航空機の英語,車・野球の外来語

 車に関する言葉は,英語では基本的に馬車に由来する。drive driver に始まって,fender wagon chassis,さらに bus taxi coach coupé に至るまで,「馬車用語」が転用されたものである。他の西欧語でも同様だろう。
 漢字では,「駐」「駆」などにウマのおもかげがある。ただし,「駐」は現代中国語では使用頻度が低い文字らしい。

 同様に,英語の航空機関係の言葉は基本的に船に由来する。pilot aboard board cabin charter など,みな元は船について用いられてきた語の転用である。airport airline のように,air をつけたものを加えれば,その数はさらに増える。

 馬車の伝統が大きく違う日本では,車の用語は車と共に英語から入ってきた外来語が主だが,「ハンドル」「バックミラー」など古くから用いられている言葉は,結果としていわゆる「和製英語」(そのまま英語の綴りにしてもあまり通じない)が多い。
 これは,「フォアボール」「デッドボール」「バックネット」といった野球の用語も同様である。ただし,車にしても野球にしても,「ホイールベース」「クローザー」といった新しい用語は「和製英語率」が低い。

 Jリーグ発足のときの施策だと思うが,サッカーでは,「アウェイ」「サテライト」など,なるべく野球と違う言葉を使おうとしているようだ。

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May 03, 2012

『サロメ』の新訳

 オスカー・ワイルドの『サロメ』の平野啓一郎による新訳が4月に出た(→参照)。以前「カラキョー」で話題になった光文社古典新訳文庫の最新刊である。ご承知のように短い作品なので,戯曲本体より付録部分の方が大きく,ページ数は以下のようになっている。

  本体 75 [献辞等を含む]
  注(田中祐介)  39
  訳者あとがき 28
  解説(田中祐介) 60 [書誌を含む]
  『サロメ』によせて(宮本亜門) 12
  ワイルド年譜 4

 宮本亜門が登場しているのは,新国立劇場での上演(オペラではない)のために平野に新訳を依頼したのが宮本だからである(宮本演出の『サロメ』上演は5月31日~6月17日;→参照 いきなり音が出るので注意!)。
 サロメのせりふは,過度にイマ風にしているわけではないが,現代の15歳ぐらいの女の子がしゃべるとしたらこんな感じだろうという口調になっている。それだけに,ヨカナーンへの妄想が広がっていく過程が直接的に感じられ,恐ろしい。「解説」も渾身の作というべきもので,資料としても貴重である。

 オペラの原作となった古典的戯曲の新訳としては,先ごろ,ボーマルシェの『フィガロの結婚』(鈴木康司 訳,大修館書店)が出た(→紹介)。現代の日本語上演が可能な訳を目指したものだが,こちらは原作がやたらと分量が多く,『サロメ』より字詰めの多い組版で本体は224ページある。日本語で上演したら正味4時間では終わらないのではないだろうか。

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May 01, 2012

新国立劇場のヴェネツィア・ツアー

 4月の新国立劇場は『オテロ』と『ドン・ジョヴァンニ』,共に2009年にプレミエになった演出の再演だった。両方とも整った上演で楽しめたが,それぞれのプレミエのときの感激には少々及ばなかった。
 この2つの演出には,舞台をヴェネツィアに移しているという共通点がある。『オテロ』では,舞台に水を張って運河が作られていたし,『ドン・ジョヴァンニ』ではゴンドラが登場した。
 オテロは都市国家ヴェネツィアの将軍だが,物語の舞台はキプロスである。これを「本拠地」であるヴェネツィアに移した。大道具は部分部分は具象的だが,全体としては抽象的な不思議な空間が現出していた。(原作の第1幕はヴェネツィアを舞台にしているが,オペラでは省略され,オペラ第1幕後半の歌詞に一部が生かされている。)
 『ドン・ジョヴァンニ』の舞台をヴェネツィアに移したのは,映画版(ジョセフ・ロージー監督)の先例がある。今回の演出家は,ドン・ファンと同じく好色で名を馳せたカサノヴァのイメージを重ね合わせるためにもヴェネツィアにしたという。こちらも各部分はいかにもヴェネツィアらしい舞台装置が立体的な舞台空間を作っていた。

 新国立劇場の2011-2012シーズンは10作中9作が終わり,あとは新演出の『ローエングリン』(6月)を残すのみになった。

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