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May 01, 2012

新国立劇場のヴェネツィア・ツアー

 4月の新国立劇場は『オテロ』と『ドン・ジョヴァンニ』,共に2009年にプレミエになった演出の再演だった。両方とも整った上演で楽しめたが,それぞれのプレミエのときの感激には少々及ばなかった。
 この2つの演出には,舞台をヴェネツィアに移しているという共通点がある。『オテロ』では,舞台に水を張って運河が作られていたし,『ドン・ジョヴァンニ』ではゴンドラが登場した。
 オテロは都市国家ヴェネツィアの将軍だが,物語の舞台はキプロスである。これを「本拠地」であるヴェネツィアに移した。大道具は部分部分は具象的だが,全体としては抽象的な不思議な空間が現出していた。(原作の第1幕はヴェネツィアを舞台にしているが,オペラでは省略され,オペラ第1幕後半の歌詞に一部が生かされている。)
 『ドン・ジョヴァンニ』の舞台をヴェネツィアに移したのは,映画版(ジョセフ・ロージー監督)の先例がある。今回の演出家は,ドン・ファンと同じく好色で名を馳せたカサノヴァのイメージを重ね合わせるためにもヴェネツィアにしたという。こちらも各部分はいかにもヴェネツィアらしい舞台装置が立体的な舞台空間を作っていた。

 新国立劇場の2011-2012シーズンは10作中9作が終わり,あとは新演出の『ローエングリン』(6月)を残すのみになった。

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