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Jun 23, 2012

新国立劇場 世界水準の『ローエングリン』

 もっと早く「特筆」したかったのだが,新国立劇場 2011-2012 シーズンの掉尾を飾った新制作の『ローエングリン』(6月1日~16日)は,記念碑的と言っても大げさではない上演だった。新国立劇場は,1997年の開場記念の演目のひとつとして,ヴォルフガング・ワグナー演出の『ローエングリン』を上演しているが,これはその後上演されないまま,新しい演出に替わったわけである。(同じ開場記念演目の中のゼッフィレッリの『アイーダ』は,その後(たぶん)2回上演され,来年3月にも再演される。)

 特に歌手はすべて良かったが,立役者はまず,タイトルロールのクラウス・フロリアン・フォークト(綴りはわずか4字 Vogt)。なんと元はホルン奏者だったというフォークトの明るい美声はローエングリンにぴったりで,2回この役を聞いたボタ山関(これも美声ではあるが)と違って姿もりりしい。エルザ,悪役2人はもちろん,ハインリッヒ王のギュンター・クロイスベック,伝令の萩原潤も存在感を示し,見事だった。
 指揮のペーター・シュナイダーは,決して強引に引っ張ることはしないが,すべてを掌握して,気がつけばまとまっていたという感じの匠の技。東フィルも好演だったが,とりわけすばらしかったのは合唱団で,合唱の出番の多いこのオペラを支えた。ただ,トゥッティのフォルテッシモのところで,キンキンという感じの高い音が耳に触った。年をとったこちらの耳のせいかとも思ったが,他にも同様のことを言っている人がいたし,前にも感じたことがある。音響装置の関係か。

 演出は,事前に悪い評判を複数聞いていたし,同じ演出家の『オランダ人』(2007年,2012年)が良くなかったので,期待していなかった。しかし今回は,わかりやすさを実現しようとしたもののようで,スリリングではないが,それほど悪いものではなかった。少なくとも,『オランダ人』よりずっとよい。で,もっともいただけないのは衣装だった。特に,合唱のかぶるヘッドギア状のものとか,テルラムントらの大きな帽子は珍妙。
 4人の小姓はほぼ同じ身長で,お腹の見えるシャツと短パンの上に白い網タイツという体型のわかる衣装を着る都合上(?),細身の人をそろえていた。『神々のたそがれ』のラインのおばさんたちがレオタード状のものを着せられて気の毒だったのと好対照。

 後でタワーレコードに行ったら,フォークト出演の去年のバイロイトのDVDがあって,「フォークトは新国立劇場のローエングリンに出演中。歌手はいいみたいですよ」という手作りポップが添えられていた。

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