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February 2013

Feb 25, 2013

Take Five and Nine

 昨年12月に死去したデイヴ・ブルーベックのクヮルテットは,MJQ(Modern Jass Quartet)と共に室内楽的なジャズの双璧だった。ピアノ,ベース,ドラムの基本トリオに加わるのが,ブルーベックではポール・デズモンドのアルト・サックス,MJQ ではミルト・ジャクソンのヴァイブ(ビブラフォンと書かれることが多かった)というのも,響きの点で好対照だった。
 ブルーベックの最大のヒット作はいうまでもなく5拍子の名曲 Take Five だった。高校の吹奏楽でアルト・サックスを吹いていた私は,Take Five を何度も聞いて覚え,アドリブを楽譜に書き起こしたりもした。卒業の時には,ピアノで基本的なコードをそれらしく弾ける友人といっしょに,オープンリールのテープに録音した。
 ブルーベックのリズムが印象的な曲としてはもうひとつ,Blue Rondo a la Turk(トルコ風ブルーロンド)がある。これは譜面はたぶん8分の9で書いてあるのではないかと思うが,冒頭の3小節のリズムは (2/8)×3+3/8,4小節目は (3/8)×3で,この4小節が積み重なってロンドのテーマをなす。Take Five と違ってはしゃいだ感じがおもしろい。中間部は表情が一転して4拍子の普通のブルースになる。

 5拍子ではなくて5連音符の話だが,昔々のN響では,5連音符が出てくると「ナカメグロ」「ナカメグロ」と唱えてリズムを理解したという。これは,N響の練習場が高輪の前は中目黒にあったのにちなむ。

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Feb 24, 2013

元町・中華街方面行き

 地下鉄副都心線(および東武東上線,西武池袋線)と東急東横線の直通運転開始(3月16日)まで,あと3週間になった。首都圏の鉄道の今年最大のできごとになるはずである。関係4社は昨年から大宣伝に余念がない。
 車両はすでに乗り入れを始めていて,昨年秋から副都心線内で東急の車両に何度か乗った(下の写真は昨年11月)。東京メトロの車両も東横線を走っているという。Aapb187733
 
 
 
 このほど副都心線の駅に「元町・中華街方面」行きの行き先表示が登場した(東横線から直通するみなとみらい線の終点「元町・中華街」は中黒付きの駅名)。開業までは紙を貼って隠したりするのが普通だと思うが,今回は隠し立てせずに表示してある。渋谷で乗り換えれば行かれるので嘘ではない,ということだろうか。Aap2218121

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Feb 19, 2013

電気仕掛けのスポーツ

 女子アイスホッケーのソチ・オリンピック出場が決まった。まことにめでたい。
 アイスホッケーについていつも思うのは,パックの動きが速くてテレビではなにがなんだかわからない,ということである。パックの速度は,あらゆる球技の中で最速の160km/hにもなるという。生で見たことはないのだが,生ではどの程度見えるのだろうか。
 パックの中に電球を入れて光るようにしたらどうかとも思うが,あまり変わらないのかな。

 いろいろな競技で判定に「電気仕掛け」が採用されている。テニスでボールの着地点の判定に関して「チャレンジ」というシステムがあることを,2年前ぐらいに初めて知って驚いた。野球でも相撲でもビデオ判定は一部で使われているが,テニスではそれが電子化されたわけだ。
 でも,いちばん決定的な使われ方をしているのはフェンシングだろう。あれこそ,肉眼で見ていてもまったくわからない。いつから採用されているのかは知らないが,逆に,電気仕掛け以前はちゃんと判定ができていたのだろうかという疑問さえ生じる。

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Feb 11, 2013

史上最大の if

 ヒトラーが1933年1月に首相になり,政権を掌握してから80年を迎えた。ヒトラーが政権の座にあったのはそれから12年余りで,たいした長さではない。しかし,一人の人間が世界に与えた影響としてはもっとも大きなものだったのではないか。
 歴史に関して「もし…だったら」を言っても意味がないのだが,それでもやはり想像したくなることのひとつは,「ヒトラーがウィーンの美術学校に合格していたら…」という if である。そのまま画家,または美術関係の職業についたかどうかがひとつの分かれ道だが,そうだったとしても,何かのきっかけで政治への野望を抱くことはありそうだ。ちなみに,ヒトラーの2年前にはエゴン・シーレがウィーン美術学校に合格している。
 さらに,ヒトラー自身はおとなしく暮らしたとしても,第一次大戦後の敗戦国の疲弊の中で,別の形で別のヒトラーが出てくることも,歴史的状況としては必然だったのかもしれない。

 ヒトラーの政権奪取は,クーデターなどではなく,選挙という合法的な手段を通じて行われた。日本の場合も,ドイツのような一人によるリーダーシップはなかったが,議会の「翼賛」のもと,一応合法的に,戦争への道を突き進んだ。
 ちなみに(といっても,あまりちなんではいないが),日本国憲法は,大日本帝国憲法の改正という形で,最後の帝国議会で議決された。旧憲法とはまったく異なる原理に基づく憲法が,旧憲法に定められた憲法改正の手続きに従って成立したのだった。

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Feb 03, 2013

『トスカの接吻』

 深水黎一郎『トスカの接吻――オペラ・ミステリオーザ』(講談社文庫)というミステリーがあるのを,文庫になって初めて知った(初版は2008年)。読み始めたらおもしろくて,最後は目的地なく電車に乗って読んだ。キザだけど憎めない探偵役の瞬一郎は,ヨーロッパを何年か放浪していてオペラにも美術にも詳しいという設定である。
 『トスカ』第2幕,トスカがスカルピアをナイフで刺す場面で,小道具が本物のナイフにすり替えられ,スカルピア(役の歌手)が舞台上でトスカに殺されるというのが第1の事件である。主に瞬一郎の口から,オペラの制作過程や舞台裏,演出家や歌手の言動が詳細に語られるが,これが(たぶん)ほぼ正確で,この点「さよなら何とか」(1冊半しか読んでいないが)とは大違いである。
 帯での宣伝や解説によると,これは「芸術探偵」シリーズの第2作で,ほかに『エコール・ド・パリ殺人事件』『花窗玻璃――シャガールの黙示』『ジークフリートの剣』が刊行されているというので,先日,神保町郷愁散歩に出かけた際に3冊とも買ってきた。このシリーズ以外にも『五声のリチェルカーレ』など,気になるタイトルがいくつかある。

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Feb 02, 2013

『タンホイザー』と『トロイアの人々』

 先週末は,土曜に新国立劇場の『タンホイザー』,日曜にメト・ライブビューイングの『トロイアの人々』という怒濤の週末だった。これだけなら前から予定していたことだが,その直前の金曜日に,1か月以上前に予約した iPad mini がようやく入荷し,怒濤度に輪をかけた。

 バイロイトでは「オペレッタ」と呼ばれている短めオペラのひとつである『タンホイザー』が,ワグナーとヴェルディの記念年の最初の生オペラとなった。休憩(25分が2回)を含めて4時間10分,2007年プレミエの舞台の再演である。2007年の上演はたしかに見たのだが印象は薄く,見ているうちに少しずつ思い出した。全体としてはまとまりがよくなった。
 抽象的な舞台装置で,なかなかの美しさ。タイトルロールのアナセン(デンマーク人だから要するに「アンデルセン」)はよい声だが,「ローマ語り」に備えて声をセーブしっぱなし。さすがにローマ語りでは一応ちゃんと声を出したが,まだ欲求不満が残った。ヴェーヌスは何度も聞いているツィトコーワで,メゾソプラノ兼任の声が意外とヴェーヌスに合っていた。
 そして,特筆ものは合唱。合唱が重要なこの曲で,いつもながら見事だった。(新国立劇場のサイトのインタビュー動画で,エリザベート役のミーガン・ミラーが「リハーサルで,合唱がすばらしくて涙が出た」と語っている。)

 翌日は,映画館でメト・ライブビューイングの『トロイアの人々』,上演時間が正味251分という超大作である。めったに見る機会がないからということで,日曜の朝から昼食を用意して出かけた。ベルリオーズのオペラは,松本のフェスティバルで『ファウストの劫罰』を見たのが唯一の経験だが,これはオラトリオを強引にオペラにしたものだった。
 『トロイアの人々』というややあいまいなタイトルになっているのは,内容が2つに分かれていて,前半はトロイア戦争,後半はディドとアエネアスの物語になっているからだろう(後者と同じ題材によるパーセルの『ディドとアエネアス』を昔見たことがある)。さらに,このタイトルによって,「合唱がタイトルロール」という適切な結果になっている。長いが,いろいろ見せる工夫満載で,ほとんど飽きることなく(わずかに居眠りしたが)見た。何度も見たいとは思わないが,貴重な経験だった。

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